人工流れ星事業などに取り組む宇宙ベンチャーの株式会社ALE(東京都港区、代表取締役/CEO 岡島礼奈)は2023年7月5日、「導電性テザー(EDT)を用いた宇宙デブリ拡散防止装置」の開発を進めていた宇宙デブリ対策事業を終了し、当該事業に関連する資産を、ALEで当該事業のマネージャーを務めていた宇藤恭士氏が設立した株式会社BULL(栃木県宇都宮市、代表取締役 宇藤恭士)に譲渡すると発表した。
関連記事
人工流れ星サービスのALE、「ALE-3」のエンジニアリングモデル完成―2024年に打上げ予定(23年6月)
経営資源の選択と集中のため「デブリ対策事業」を終了、持続的な事業成長に期待
ALEはこれまで、人工流れ星をはじめとした「宇宙エンターテインメント事業(SKY CANVAS)」や地球大気のデータを活用し気候変動の解明への貢献を目指す「大気データ事業」、EDTを用いたデブリ対策装置の開発をはじめとする「宇宙デブリ対策事業」に取り組んできた。
同社は今回、経営資源の選択と集中の観点から、宇宙デブリ対策事業を終了することを決定。一方、BULLはこれまでALEが蓄積してきた技術力および商品力に一定の価値を見出しており、それらの最大活用による持続的な事業成長を期待している。
さらに、より早期の事業化が見込めることから、両社はBULLのもとでの取り組み継続が最善と判断したという。
今回の譲渡について、ALE代表取締役CEOの岡島氏は「私たちALEのデブリ対策の取り組みを引き継ぐのが、同じ会社の仲間として本事業に力を注いでくださっていた宇藤氏率いるBULLであることが大変嬉しい。今後のさらなる飛躍を期待している。BULLとALEはもちろん、宇宙開発業界全体でサステナブルな宇宙環境の実現を目指していきたい」とコメント。
また、BULLのCEO宇藤氏は「弊社が進めるデブリ化防止装置の開発において、ALEがこれまでに培ってきた技術や知見は大変に得難く、ALEの本事業を引き継げることを大変嬉しく思う。ALEは私が宇宙産業に初めて携わった会社であり、偉大な先輩だ。世界全体の宇宙開発を持続可能な形で発展させられるよう、これからも拙速を貴びつつ死力を尽くす」とコメントした。
今回の譲渡により、ALEでの宇宙デブリ対策事業は終了するものの、宇宙開発事業者として軌道上環境の維持に努める姿勢は変わらない。