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宇宙産業の経済規模が拡大- 2021年は約64兆円に成長と米宇宙財団が発表

20227月、米宇宙財団は2021年の世界の宇宙経済規模が4960億ドル (64兆円) に達したと発表しました。前年からの成長率は9%であり、これは過去最高レベルの成長率です。

 

商業部門と政府部門に分けると商業部門の占める割合が高く、3,620億ドルとなっています。これは前年比6.4%の増加です。残りの1,070億ドルを占める政府支出は前年比19%増であり、特に成長率の高い国はアメリカ (18%)、中国 (23%)、インド (36%) となっています。

世界の宇宙経済規模の推移

2015年の経済規模は3,230億ドルでしたが、この6年で約150%にまで成長しました。今年は経済が減速しているにもかかわらず宇宙関連の支出は今後も増加し続け、2026年には6340億ドル (86兆円) にまで達すると予測されています。

 

2022年の上半期では72回の打上げで1,022機の人工衛星が軌道投入されており、これまでの歴史の中でも格段に早いペースで打上げが行われています。このうち958機が商業部門からのものであり、民間による宇宙開発が主流となっていることが見て取れます。

 

一方、政府支出も軍事や各種ミッションのために増加しています。ロシアのウクライナ侵攻ではマッハ5以上の速度を持つ超音速ミサイルの使用が確認され、これは既存の防衛システムをすり抜ける能力を持ちます。そこで各国は、このような超音速ミサイルに対応するために新しい防衛システムの購入や開発のために支出を増やしています。

 

また、火星やその先の星などでの将来的な有人ミッションに向け、NASAでは核分裂による推進システムや発電技術の研究開発を推し進めています。これが実現すれば、原子力ロケットでの到達時間は半分になり、月や火星での原子力発電所はメンテナンスがほとんど要らず容易に電力供給ができるようになるとのことです。

 

日本での宇宙産業の規模は現在約1.2兆円であり、2030年代早期に2.4兆円まで拡大させることが政府目標となっています。大企業から中小企業、ベンチャーまで、様々なプレイヤーが盛り上げていくこれからの宇宙産業に期待です。

 

出典:

米宇宙財団「Space Foundation Releases The Space Report 2022 Q2 Showing Growth of Global Space Economy

https://www.spacefoundation.org/2022/07/27/the-space-report-2022-q2/

経済産業省 製造産業局 宇宙産業室「第1回宇宙産業プログラムに関する事業評価検討会」

https://www.meti.go.jp/policy/tech_evaluation/c00/C0000000R03/220114_space_1st/space_1st_08-1.pdf

 

SPACEMedia編集部