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人材ニーズが急増する宇宙分野への転職! - 宇宙人材紹介サービス「かけはし」

 

近年、民間主導の宇宙開発が盛んになり、大企業の参入やベンチャーの台頭によって宇宙分野での人材ニーズが急増しています。大きなチャンスがあるのに人材が不足している企業と、宇宙分野への転職に興味があるけど自分に合った企業が分からない求職者、この二者を繋ぐ「かけはし」というマッチングサービスがあるのはご存じでしょうか。今回は、「かけはし」を運営する宇宙システム開発株式会社の代表取締役・広崎朋史氏にお話を伺いました。

 

宇宙システム開発株式会社では、主に宇宙関連のソフトウェア開発や生命維持システムの開発をしています。事業概要や創業時のエピソードなどについて、インタビューした記事も合わせてご覧ください。

 

SPACEMedia記事:「複雑な「計算」の力で人工衛星の運用に寄与する宇宙システム開発株式会社」
    https://spacemedia.jp/spacebis/1689

 

宇宙人材サービス「かけはし」とは

―本日はよろしくお願いします。初めに、宇宙人材紹介サービス「かけはし」の概要ついてお伺いしてもよろしいでしょうか。

 

広崎氏 世の中には、宇宙業界に興味がありながらも、その機会に巡り合えなかった方々や、かつては宇宙業界で活躍されていたけれど今は他の分野で活躍をされている方々などが多くいます。そうした方々が再び宇宙分野を目指した時に、サポートをさせていただくサービスです。

「かけはし」では、人材を募集している宇宙関連企業と、宇宙業界で新たに仕事を始めたいという求職者に登録をしてもらい、双方の希望がマッチしている場合に紹介するというサポートを行っています。

公式ホームページのフォームから会員登録をしてもらった求職者または企業の方々と面談などを通じて、双方が興味を持った場合に面接を設定しています。また、求職者の方々の宇宙への想いを詳しく、深いレベルでヒアリングをし、どのような企業が相応しいかを適切にアドバイスすることをモットーとして運営しています。

求職者の方々は無料で利用でき、採用が決まった場合に企業から報酬を受けるというシステムで行っています。

また、弊社も宇宙業界の企業になりますが、本サービスは完全に独立して運用しており、守秘義務を遵守しております。また、プライバシーマークも取得し、個人情報の取り扱いには細心の注意を払っています。

 

Credit:宇宙システム開発株式会社

 

 

宇宙人材紹介サービス「かけはし」公式HPhttps://www.kakehashi-ssd.jp/

 

―「かけはし」を利用する対象はどういった方になりますか。

広崎氏 「かけはし」では、あくまで過去に宇宙分野に触れていた方も含めて、現在宇宙分野の外にいる優秀な人材を宇宙業界に呼び込むことがコンセプトです。

主に、求職者は原則として宇宙業界以外で働かれていた方、過去に宇宙業界で働かれていて現在は宇宙業界を離れた方、学生時代に宇宙関連を専攻していたが宇宙業界以外で働いている方を対象としています。

宇宙業界に混乱をもたらすことは弊社の本意では無いため、宇宙業界の同業、同職種への転職の斡旋は行っていません。ただし、例外として衛星からロケット、ソフトウェアからハードウェア等の異なる職種への転職の斡旋は行っています。

 

―「かけはし」を運営する上での課題点などあればお聞かせください。

広崎氏 現在の登録企業数は13社で、特に最近になって登録数が増えています。しかし、2年ほど前から宇宙ベンチャー企業が増加したこともあって、登録企業の増加に対して、求職者が追いついていないというのが実情です。これは宇宙業界全体に言えることかもしれませんが、今後は求職者の登録数をどう増やしていくのかというところが課題です。

 

―宇宙人材紹介サービスを始められたのは、どのようなきっかけだったのでしょうか。

広崎氏 私が新卒だった頃、宇宙関連の仕事が出来る部門を希望し、大手IT企業に入社しました。しかし大手企業ではよくあることかもしれませんが、希望通りの部門には配属されませんでした。その後、社内で頑張って宇宙部門に移ることができたのですが、そこには宇宙関連の仕事を希望していないけど、新卒で配属をされたという人が数名いました。会社側にも様々な事情があるので、社員全員が希望通りの配属にはならないことも多いと思います。けれどそれ以来、私のように新卒で宇宙関連の仕事に関われなかった方たちも中途で転職をして、宇宙関連の仕事に関わるチャンスがあってもいいのではないか、という想いを持つようになりました。そして、起業後に長年抱いていた想いを実現するため、2007年に「かけはし」のサービスを開始しました。

 

Credit:宇宙システム開発株式会社

 

いま宇宙業界で求められている人材

―登録する方は、どのような前歴をお持ちの方が多いのでしょうか。

広崎氏 登録条件の制限などもしていませんので、本当に幅広いバックグラウンドを持った方々に登録をしていただています。以前までは、エンジニアなどの技術系、その中でもIT系の方が多い傾向があったのですが、最近では、前職で宇宙部門にいた方や、現在宇宙部門にいるけれど別の宇宙関連分野で働きたい方、さらに文系出身の方の登録も増えています。

 

―本当に様々なバックグラウンドを持たれた方がいるのですね!

広崎氏 そうですね。特に、過去に宇宙分野の仕事をしていた方で、やはりもう一度やりたいと想われて、ご登録をされる方が多いです。また、大学で航空宇宙の分野を学んでいたけれど、卒業後に別の分野に進み、やはり宇宙についてもう一度関わりたい、という方が増えています。

 

―転職先として、どのような職種を希望している人が多いのでしょうか。

広崎氏 理系出身の方は、人工衛星の開発を希望する方が大半ですね。またロケット開発や地上システム開発は、それぞれ12割程度になります。一方で文系出身の方は、分野を限定せず、宇宙関連の業務内容に関わりたいとご相談に来られる方が多いです。

 

―今後、宇宙業界では、どのような人材が求められていくと感じていますか。

広崎氏 国内だけでの活動は、市場が限られるので、語学力を始め、国際的な素養を持っている方が、求められるのではないかと思います。

どうしても「宇宙=技術」と捉えてしまいがちですが、今後は欧米など海外のベンチャー企業と戦っていかなくてはならないので、営業やマーケティングの能力を持った方が重要になってきます。

 

Credit:宇宙システム開発株式会社

 

これからの展望について

―今後どのような事業展開を考えられていますでしょうか。

広崎氏 現在、大型宇宙ベンチャーが資金調達をするなどして動いていますが、政府の宇宙関係の予算も増えています。その中で、民間と国を繋ぐ「橋渡し」としての役割を果たしていきたいと考えています。現在は「宇宙居住」の分野で、様々な団体や企業とコラボして事業を進めています。先の長い取り組みかもしれないですが、既存事業をしっかり押さえつつ、このような新しい事業にも挑戦していきたいと考えています。弊社が得意としているのは「生命維持」の分野なので、人々が生きていくために必要な空気や水の再生、廃棄物の処理、食料の生産など、力を入れていきたいです。

 

また現在、地球低軌道へ人工衛星を数多く打上げていますよね。ですが、資金調達がすごくてもマネタイズが出来ておらず、まだまだビジネスにはなっていないという企業が多いのが実情です。そのような企業の取り組みを地上システムの開発を通じてビジネスとして軌道に乗せていく、そのお手伝いをしていきたい、という想いがあります。そして、そこで稼いだ資金を使い、月や火星でも使える機器の開発をしていきたいです。

以前よりも幅広い分野の方たちを宇宙業界は求めています。宇宙に興味があるという想いを持たれている、色々な分野の方々にぜひ入ってきてほしいと思います。

 

2022年823日に行われた「SpaceLINK」でスピーチをする広崎氏

 

近年、人工衛星の打上げの増加やNASAのアルテミス計画などの実施もあり、さらに注目が高まる宇宙業界ですが、実際には優秀な人材が必要でも出会えていない企業や、宇宙に関わりたくても方法が分からず立ち止まっている方が多いという課題がわかりました。宇宙人材紹介サービス「かけはし」によって、企業と人がつながり、やがて私たちと月や火星そして宇宙がつながる未来が一歩でも早く実現されることに期待しています。

宇宙に興味がある方は、このサービスに登録して、宇宙とつながる一歩を進んでみてはいかがでしょうか。

 

 

SPACEMedia編集部