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アウトポスト・テクノロジーズ、大気圏再突入用の耐熱シールド開発で米宇宙軍から資金を獲得
2025年4月14日、米国のアウトポスト・テクノロジーズ社(アメリカ・カリフォルニア州、創業者兼CEO:Jason Dunn、以下Outpost Technologies)は、宇宙を介した貨物輸送技術の開発に向けて、米宇宙軍(USSF)のイノベーション組織・SpaceWERXから、「中小企業技術革新(Small Business Innovation Research:SBIR)」プログラムに基づく資金提供契約を受注したと発表しました(Outpost Technologiesによる発表)。
契約額は180万ドル(約2億6,000万円)。
この契約により、同社は大気圏再突入用の展開型耐熱シールドの開発プログラム「大気圏外実験・ペイロード用シールド技術(Shielding Technology for Exoatmospheric Experiments and Payloads:STEEP)」を推進し、今後、熱防護ソリューションの包括的な評価や小型プロトタイプの設計・分析・試験を実施する予定とのこと。
アウトポスト・テクノロジーズ社は、大気圏再突入時の熱防護の課題に対応するSTEEPは、米空軍研究所や米宇宙軍が取り組んでいる宇宙を介した貨物輸送能力向上などに貢献するものだとしています。
日本でも、東北大学発宇宙スタートアップのElevationSpaceが、豊田自動織機と大気圏再突入システムに用いる耐熱材料を共同開発すると発表したばかりです(参考記事)。
大気圏に再突入する宇宙機は、1万度もの熱にさらされるとされます。この熱への対応策が開発されれば、宇宙実験などの実施ハードルを下げることにもつながりそうです。
Redwireのベルギー子会社、月周回拠点「ゲートウェイ」欧州居住モジュール関連の契約を受注

2025年4月15日、宇宙インフラなどの開発を手がける米レッドワイヤー社(アメリカ・フロリダ州、CEO:Peter Cannito、以下Redwire)は、同社のベルギー子会社であるRedwire Space NV社が、月周回有人拠点「ゲートウェイ(Gateway)」で欧州が担当する居住モジュール「Lunar International-Habitat(I-Hab)」用のドッキングシステム4機を供給する契約を、仏ターレス・アレニア・スペース(Thales Alenia Space)社から受注したと発表しました(Redwireによる発表)。
同契約のもと、Redwire Space NV社は、Lunar I-Habをゲートウェイや宇宙機と連結するために必要な「International Berthing and Docking Mechanism(IBDM)」を開発、納入することになります。
unar I-HABは、2028年に予定されているアルテミスIVミッションでゲートウェイに輸送される予定です。
核融合スタートアップのHelical Fusion、フジクラと核融合炉基幹材料の追加調達で合意

Credit: 株式会社Helical Fusion プレスリリース
2025年4月18日、ヘリカル型核融合炉を開発する株式会社Helical Fusion(東京都中央区、共同創業者 代表取締役CEO:田口昂哉)は、非鉄金属大手の株式会社フジクラ(東京都江東区、取締役社長CEO:岡田直樹)と、核融合炉の中で重要機能を担う「高温超伝導マグネット」の基幹材料である「高温超伝導テープ線材」の追加調達について合意したと発表しました。
同社によると、ヘリカル型核融合炉が実用化できれば、宇宙・航空分野での応用も期待できるとのことですが、核融合エネルギーの実証・商業化に向けては基幹材料である高温超伝導テープ線材のサプライチェーン構築が重要であるため、フジクラをはじめとする超伝導線材メーカーと密に連携していくとしています。
現在、生成AIの普及によって莫大な電力需要が発生しており、CO2排出を伴わない持続可能な発電手段が求められている状況です。持続可能なエネルギーは深宇宙探査など長期の宇宙滞在にも必須であり、開発の進展が期待されます。
北極の冬季海氷域面積、衛星での観測史上最小を記録 JAXAと極地研が発表

Credit: JAXA・極地研 プレスリリース
2025年4月18日、宇宙航空研究開発機構(JAXA)と国立極地研究所(極地研)は、北極の冬季海氷域面積(年間最大面積)が衛星観測史上最も小さくなったと発表しました。
毎年、北極の海氷域は晩冬となる3月頃まで拡大。今年は3月20日に年間最大面積となる1,379万平方キロメートルを記録しましたが、これは衛星観測開始以来、最も小さい値となるとのこと。
JAXAと極地研は、北極域研究加速プロジェクト(ArCS Ⅱ)の一環として、水循環変動観測衛星「しずく」(GCOM-W)をはじめとしたマイクロ波放射計による観測データをもとに、40年以上にわたる長期的なデータセットを整備しており、南極・北極の海氷域面積の時間的・空間的な変化の可視化や、北極域データアーカイブシステム(ADS)のウェブサイトで公開などを行っています。
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