宇宙航空研究開発機構(JAXA)は2023年7月11日、「X線分光撮像衛星(XRISM)」および「小型月着陸実証機(SLIM)」を搭載したH2Aロケット47号機を、同年8月26日午前9時34分57秒(日本時間)に鹿児島県の種子島宇宙センター大型ロケット発射場から打上げると発表した。打上げ予備期間は同月27日〜9月15日となっている。
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「XRISM」は、2016年の打上げ後わずか数週間で故障した日本のX線天文衛星「ひとみ」の後継機で、米航空宇宙局(NASA)や欧州宇宙機関(ESA)をはじめとした関係機関と密接に協力しながら開発が進められていた。
XRISMには、広い視野をもつX線撮像器と極超低温に冷やされたX線分光器が搭載。星や銀河、その間を吹き渡る高温ガス「プラズマ」に含まれる元素やその速さを測ることで、星や銀河、銀河の集団がつくる大規模構造の成り立ちを解明することを目的としている。
「SLIM」は、将来の月惑星探査に必要なピンポイント着陸技術と、小型で軽量な探査機システムの実現を目指す月面探査機。
この実証機は月面に安全に着陸し、着陸場所の選定や精密な制御を行うことができる。
従来の「降りやすいところに降りる」着陸ではなく、「降りたいところに降りる」着陸を実現することで、月よりもリソース制約の厳しい惑星への着陸を可能にする。
今回の打上げでは着陸後、月面の表面を移動し、月面の地形や環境を調査する予定。「SLIM」の実証結果は、今後の月探査計画「アルテミス」においても利用される。
日本のロケット打上げが再開、成功率97.8%の「H2A」
H2Aロケットは2005年に打上げられた7号機以来、40機連続で打上げを成功させており成功率は97.8%。50号機を最後に退役することになっている。
47号機は当初、5月頃に打上げられる予定だったが、H3ロケット試験機1号機の打上げが失敗した影響で延期されていた。
H2AロケットにはH3ロケットと同系のエンジンが搭載されていることから、技術的な影響評価と対策に時間がかかったという。
JAXAは、H3と共通する機器に対し、ショートする可能性がある箇所に保護テープを施したり、検査を強化し部品に損傷がないかを確認したりするなど対策を講じていた。