【保存版】東京都内で宇宙工学が学べる私立大学~後編~

日本でも盛り上がりを見せる宇宙産業。宇宙開発について大学で学びたいという方も増えているでしょう。また、子どもには大学に行くのなら将来性のある宇宙産業についてじっくり学んで欲しいと考えている保護者の方もいると思います。

前回のコラムでは東京都内で宇宙工学が学べる私立大学を3つご紹介しました。本記事では前編に引き続き都内の私立大学について紹介していきます。

前回のコラムはこちら

SPACE Mediaでは『航空宇宙工学と大学』をテーマに連載を行っています。以下の過去記事もぜひご覧ください。

【学生必見】宇宙開発に携わるための学部・学科選びについて徹底解説

【保存版】東京都内で宇宙工学が学べる国公立大学4選

【保存版】東京都内で宇宙工学が学べる私立大学~前編~

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拓殖大学 工学部 機械システム工学科 システムデザインコース

Credit: 拓殖大学

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拓殖大学 工学部 機械システム工学科には3つのコースがあり、そのうちのシステムデザインコースで航空宇宙工学について学ぶことができます。機械システム工学科では、入学当初はコースに分かれておらず、1年次に数学や物理の基礎を学びます。少人数による実験実習に重きを置いており、その一つとしてPBL (Problem Based Learning) という手法を取り入れた授業で、グループワークを通じてチームで問題を解決する力を養っていきます。

2年次になるとコース選択があり、ここでシステムデザインコースを選択すると、航空宇宙工学に関する専門科目を履修していくこととなります。そして3年次になると専門科目に関する実験を多く行い、後半には8名程度のグループに分かれて研究室に所属して研究活動などを通じて進路を決定していきます。4年次になってから研究室配属になる大学がほとんどですが、拓殖大学では研究室配属が早いのが特徴です。

航空宇宙工学の中でも流体に関する機械工学を中心に学ぶので、プロペラや翼の空気の流れに興味がある人に向いています。数値シミュレーションだけでなく、風洞 (空気の流れを再現する設備) を用いた実験なども実施することができます。

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学科紹介 | 機械システム工学科 | 工学部 | 拓殖大学
プロペラに関する研究の一部

Credit: 拓殖大学

https://feng.takushoku-u.ac.jp/composition/ms.html#anchor03

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東京都市大学 理工学部 機械システム工学科

薄暮の世田谷キャンパス
Credit: 東京都市大学

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東京都市大学では理工学部機械システム工学科で航空宇宙工学について学べます。1・2年次に数学や物理の基礎を学んだ後、2年次後期から機械システム工学を本格的に学びます。機械システム工学とは、モノの利用者の目線に立ってシステムを作り上げていく工学です。自動車のエンジンで例えると、単に動力や性能を向上させるだけでなく、ユーザや環境と調和するような自動車を作れるかという観点で開発していくということです。

そして、その機械システム工学が扱う対象として、ロケットや人工衛星についても学んでいくことができます。特に電気と制御という部分に重きを置いており、これらの分野による機械の高機能化・高緻密化を実現する人材を育成するカリキュラムとなっています。

多くの大学よりも早く、3年後期には研究室に配属されます。宇宙に関する研究としては、人工衛星やロケットなど宇宙機の構造に関して新たなシステムの探求や、放射線や過酷な温度などの宇宙環境が宇宙機に与える影響の研究、学生にも可能な新たなロケットエンジンシステムの開発などを行っています。

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宇宙システム研究室
宇宙システム研究室

Credit: 東京都市大学

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帝京大学 理工学部 航空宇宙工学科 航空宇宙工学コース

宇都宮オープンキャンパス | 帝京大学
Credit: 帝京大学

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帝京大学 理工学部 航空宇宙工学科 航空宇宙工学コースでは、1年次から航空宇宙工学に直結する授業が行われます。また「実学重視」という教育目標の下、様々な実験や実物見学を通じて、航空宇宙の仕事に携わるための知識や技能を身につけていきます。

実験設備は非常に充実しており、高性能な風洞や衝突実験装置、ロケット燃焼試験設備やクリーンルームを備えています。また、実物に触れるということで戦闘機の訓練機であるT-2やT-3があり、他にはJAXAから譲り受けたロケットや人工衛星のモデルもあります。

学生主体のクラブ活動も活発に行われています。人力飛行機を開発して鳥人間コンテストに出場する「Sky Project」、人工衛星の開発や宇宙システムの研究を行う「宇宙システム研究会」、定期的に星空観測会を行ったり地域の人々に星空のすばらしさを伝える活動をしたりしている「天文部」、ラジコンシミュレータで操縦訓練をしたり実際にラジコン飛行をしたりしている「航空部」があります。

4年間を通じて航空宇宙工学について学び、また関連のクラブ活動も盛んに行われているため、航空宇宙が大好きな仲間たちに囲まれて充実した学生生活を送ることができます。

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鳥人間コンテストの様子

Credit: 帝京大学 Sky Project

https://www.teikyo-u.ac.jp

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法政大学 理工学部 機械工学科 機械工学専修

Credit: 法政大学

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法政大学 理工学部 機械工学科 機械工学専修では幅広い分野の専門科目が用意されており、その中で航空宇宙工学に関する科目を履修していくことができます。1年次から広く数学や物理の基礎を学びつつ、航空宇宙工学に直結する科目も設置されており、学年が上がるにつれてより専門的な内容を学んでいきます。4年次から卒業研究を始め、分野としては複合材料や金属材料のマテリアル分野、ガスタービンやターボ機械の流体分野などを扱っている研究室があります。

機械工学専修では6つのコースが設置されており、その一つに航空宇宙コースがあります。しかし、航空宇宙工学に集中して履修しなければいけないわけではないので、途中で進みたい道が変わったり、他の分野で興味が湧いてきたりした場合に、そのような専門科目を学んでいくことができるのが特徴です。航空宇宙以外に、医療や福祉、環境やエネルギー、バイオメカニクスなど、様々な分野の科目があります。他分野にも関心のある学生との交流を通じて、より視野を広げていくことができるでしょう。

また、法政大学には鳥人間コンテストに向けて滑空機の製作をしているサークル「航空工学研究会HoPE」もあり、実際に作って飛ばす経験をすることができます。設立50年を超えるサークルであり、機械工学科以外の学科や他のキャンパスのメンバーも交えて活動しています。学科では様々な分野に関心がある同期と、サークルでは航空宇宙工学に興味がある仲間と過ごす、という学生生活を送ることができます。

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コンテスト当日、仲間に翼を支えられ、プラットフォームから飛び立つ瞬間 
Credit: 法政大学

https://mech.ws.hosei.ac.jp


おわりに

今回は東京都内で航空宇宙工学が学べる私立大学(後編)を紹介しました。航空宇宙工学の名前を冠しておらずとも、航空宇宙について学ぶことができる学部学科があるということが分かったのではないでしょうか。大学を選ぶ軸は一つだけではありません。今回の記事が皆さんの大学選びの選択肢を広げ、進路選択の一助になれたら幸いです。関心を持った大学があれば、是非ホームページや現地のキャンパスを訪れてみてください!次回は、全国の国公立大学について紹介します!