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【フォトレポート】宇宙の切り口で大阪・関西万博を楽しもう 〜注目の宇宙関連展示5選

2025年4月13日(日)から10月13日(月)まで、大阪湾に浮かぶ人工島・夢洲(ゆめしま)で開催されている2025年日本国際博覧会(略称:大阪・関西万博)。

55年ぶりに日本での開催となる同万博では、「宇宙」をテーマとした展示も数多く見られます。

ここでは、大阪・関西万博の広大な会場の中から編集部が独自にセレクトした宇宙関連展示を、写真でご紹介します。

イノベーション・宇宙開発の「これまで」と「これから」を体感 アメリカ館

まずは大屋根リング内の東側、「エンパワーリングゾーン」に位置するアメリカ館をご紹介しましょう。

人類初の有人月着陸達成をはじめ、世界の宇宙開発の先導してきた国の一つであるアメリカ。大阪・関西万博のアメリカ館では、宇宙開発の要素もふんだんに取り入れながら、人々が協力しイノベーションを起こすことで社会がかたちづくられるというメッセージが印象的でした。

大行列のアメリカ館
国際的な月探査プログラム「アルテミス計画」で使用される予定のロケット「スペース・ローンチ・システム(SLS)」の模型
将来的には、こうした3D月面プリンターやロボットを活用して月面が開発されていくのかもしれません

展示の冒頭にはスタッフによるイントロダクションがあります。スタッフによってアレンジが異なるとのことで、複数回訪れても楽しめるようになっています。

展示内容は、宇宙に限らず農業やバイオなどといったさまざまな領域の技術革新にも触れており、映像や展示物を追っていくことで、詳しい知識がなくても、技術開発やイノベーション、科学の発展の「これまで」と「これから」が自然と感じられる構成です。

ですが、宇宙開発に関してある程度知識をおもちの方であれば、さまざまな映像・展示に登場するロケットや探査機を探しながら見ることで、より深く展示を楽しむことができそう。映像や展示を見ながら、宇宙要素を探していくという楽しみ方もできそうです。

展示の最終盤ではモニターに囲まれたエリアで宇宙に飛び立つ体験ができます
地球を飛び立ったロケットは宇宙ステーションへ近づき、さらに深宇宙へ。旅がどこまで続くかは、ぜひパビリオンで体験してみてください
パビリオンの最後で来館者を迎えるのが1972年、最後のアポロ計画の際に持ち帰った「月の石」です

急速に進展する宇宙開発の成果がわかる 中国館

続いては、アメリカ館と同じ「エンパワーリングゾーン」にある中国館です。

中国館では、中国と日本との交流の歴史なども展示されている中、国の将来像をかたちづくる一要素として宇宙開発に触れられています。

木材を基調とし、漢字があしらってあるなど中国らしさが前面に出されたパビリオン
東西南北と伝説上の霊獣は星座とも結びつけられ、古くから信仰されてきました。天文は中国の歴史や文化にとっても重要な要素であることが感じられます
フロアを上がると最先端の技術を活用したまちづくりや宇宙開発・深海探査といった先端技術の展示があります。写真は中国の月探査機「嫦娥」が採取した月の砂
中国独自の宇宙ステーション「天宮」に滞在する宇宙飛行士からのメッセージを聞くことができます
宇宙ステーション「天宮」の全体像が見える映像などもあります

先端領域と伝統文化の融合を感じる、アラブ首長国連邦館

続いては、中東からアラブ首長国連邦(UAE)館をご紹介します。

UAE館では、「大地から天空へ」をテーマに、「宇宙」「医療・健康」「サステナビリティ」を主な柱に展示を行っています。

UAE館のテーマは「大地から天空へ」。展示の中で「宇宙」が大きく打ち出されているところに、同国が宇宙に注力している様子がうかがえます(右図)。なお、パビリオン内に林立する柱には、ナツメヤシの葉軸が使用されているとのこと
UAEの宇宙業界では女性も活躍。この展示では、それぞれの人物のストーリーを短い動画で観ることができます。UAE宇宙庁の諮問委員に就任している若田光一氏のフィギュアとメッセージもあります
現地の職人の方々が4カ月かけて制作したというロケット。乾燥させたナツメヤシの葉を編んでつくられています。UAEは2020年に火星探査機「HOPE」をH-ⅡAロケットで打ち上げるなど、宇宙領域において日本とのつながりが深い国でもあります
パビリオン内では、国内の若手人材から選抜された親善大使・ユースアンバサダーが来場者に展示の解説や文化紹介を行ってくれます。写真は編集部に説明をしてくれたアハマドさん。人と人とのコミュニケーションを大切にするおもてなし精神も、UAE館の魅力と言えそうです

パビリオン内にはタッチパネルに触れて遊ぶことができるゲームなどもあり、お子さんが楽しんで宇宙探査に親しめるコーナーもあります。

宇宙探査・宇宙開発や次世代医療といった先進的なテーマを扱いつつも、現地の自然素材を利用したUAE館は、自然と技術の融合という同国のビジョンを感じさせるものでした。

ドラマチックな映像と精密な模型で月面開発の未来に思いを馳せる JAXAブース

次にご紹介するのは、長らく日本の宇宙開発を担っている機関である「宇宙航空研究開発機構(JAXA)」のブースです。

JAXAのブースでは、月面開発をテーマとした映像上映と、月面開発に向けて開発されたさまざまな探査機などの模型を間近に楽しむことができます。

残念ながら本記事では映像の詳細をご紹介できませんが、月面開発が遠い未来の夢物語ではないと感じられる印象深い内容。ぜひご自身の目でご覧になってみてください。

なお、JAXAのYouTubeチャンネルではトレイラー映像が公開されていますので、ウェブで映像の雰囲気を味わうことができます。

さて、JAXAブースでは月面探査や月面開発を担うさまざまな宇宙機の模型も展示されています。

中でも存在感を放っているのは宇宙飛行士を乗せて月面を探査するための「有人与圧ローバー」。さまざまな角度からじっくり見ることができます。

展示されているのは、1/5スケールの模型。今まさに開発が行われているということもあり、実際にこの通りに完成するわけではないとのことですが、月面での活躍がイメージできるリアルなつくりです
クルーが出入りするハッチ部分も精巧に作り込まれています
有人与圧ローバーの隣には、月極域探査機(LUPEX)プロジェクトの探査機の模型が。前方にあるドリルで月面を掘削し、サンプルを採取します
昨年、月面へのピンポイント着陸、そして月面での画像撮影に成功して日本を沸かせた小型月着陸実証機「SLIM」と、搭載されていた「LEV-2」の模型も。眺めていると着陸成功時の感動が蘇ってくるのではないでしょうか

大迫力のスクリーンでリアルな火星の地形を体験 三菱未来館

最後にご紹介するのは、企業パビリオンの一つである「三菱未来館」です。

三菱未来館は、東ゲートを入ってすぐの「東ゲートゾーン」にあります
画像提供:三菱未来館

三菱未来館では、大阪・関西万博のテーマでもある「いのち」「生命」という観点から、巨大なスクリーンで迫力ある映像を楽しめます。

三菱未来館で上映される映像のナビゲーター、ViViとNaNa。時間や空間を超え、さまざまな「いのち」を巡ります
パビリオンに入ると、ミッションパッチ風のサインが出迎えてくれます
NASAのデータを元に映像で再現した火星を、ViViとNaNaのナビゲートのもと、巡ります
画像提供:三菱未来館
将来的に、火星にはこんな基地や都市ができているのかも…。迫力の映像はぜひパビリオンで体験してみてください
画像提供:三菱未来館

「宇宙」視点でのこの映像の見どころは、アメリカ航空宇宙局(NASA)のデータを活用して映像に再現したリアルな火星の地形。頭上まである巨大スクリーンに映し出される火星の姿には思わず圧倒されてしまうはずです。

生命の進化から宇宙開発の未来までを美麗な映像で体験できる三菱未来館、ぜひご自身でも体験してみてください。

「宇宙」テーマの展示はほかにもたくさん!

本記事では、5つのパビリオンに絞ってご紹介しましたが、世界最大級の火星の石や小惑星探査機はやぶさ・はやぶさ2が持ち帰ったイトカワ・リュウグウのサンプルが展示されている日本館、月探査機「チャンドラヤーン3号」の模型が展示されているインド館など、宇宙に関連した展示があるパビリオンはまだまだあります。

ぜひ読者の皆さんも会場を訪れ、宇宙の展示とそれらが示す未来の社会像にふれてみてください。

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