
2025年4月23日から、日本科学未来館(東京都江東区、館長:浅川智恵子)で一般公開が開始された常設展示「量子コンピュータ・ディスコ」と「未読の宇宙」。
量子も宇宙も、非常にホットな研究分野のひとつですが、未来館ではどのような展示がくり広げられるのでしょうか。
ここでは、一般公開に先立ち4月22日に行われた内覧会の様子をお届けします。
目次
科学の2大注目領域・量子力学と宇宙がテーマ
日本科学未来館館長の浅川智恵子氏は、報道関係者向けに開催された内覧会の冒頭で挨拶の中で、2つの展示の背景や意図を紹介。
初代館長である毛利衛氏の後を受け、2021年に第2代館長に就任した浅川氏は、Life・Society・Earth・Frontierの4つを、未来を考える切り口に据えて展示を進めてきたと話し、今回公開される「量子」「宇宙」はSocietyとFrontierに対応するものだと説明しました。
難解でよくわからない…と感じる人が多い領域である量子力学を、DJ体験を通じ楽しんで理解できる「量子コンピュータ・ディスコ」、そして観測技術の進歩でより多くのことが“読める”ようになった宇宙分野をひもとく「未読の宇宙」、いずれも科学における2大トピックとして楽しんでほしいと話しました。

また、「未読の宇宙」総合監修者で東京大学卓越教授の梶田隆章氏は、この四半世紀でニュートリノ研究は大きく発展したとふり返りつつ、近年では重力波が300例あまり観測されていることや、初期の宇宙を知る試みである加速器の実験などにもふれ、「宇宙の謎をどのように解こうとしているのか、研究の最前線を知ってほしい。子どもたちには展示にふれて研究の道に進み、“宇宙を読んで”くれたら」と期待を語りました。

「マルチメッセンジャー天文学」の最前線を映像と音で体感! 〜未読の宇宙〜
新たな常設展示のタイトルにも掲げられている「未読」には、これまでも宇宙から届いていたものの、人類がとらえ、完全には読み解けていない素粒子や宇宙線といった存在への眼差しがあります。
近年、センサー類や分析技術の発達により、人の目で見ることができる可視光以外にもX線や電波、重力波、ニュートリノに至るまで、宇宙から地球にやってくる多様な光・粒子を観測できるようになっています。
こうして複数の観測手段を組み合わせて宇宙の姿を探る「マルチメッセンジャー天文学」の最前線を知り、映像や音で体験できるのが「未読の宇宙」の特徴です。

窓のサイズが約4倍になり、箱の中で生じては消える高エネルギー粒子や自然放射線の軌跡が見やすくなりました






ややこしく難解な量子力学をDJプレイで学ぶ? 〜量子コンピュータ・ディスコ〜
量子コンピューティング技術の衛星通信への応用が検討される(参考記事)など、宇宙開発でも重要なキーワードとなっている量子コンピュータ。
量子力学では、「状態の重ね合わせ」や「観測」「量子もつれ」など、日常の感覚とはかけ離れた現象が扱われるため、興味はあってもとっつきづらい…と感じる方が多いのではないでしょうか。
ところが、いろいろな曲をつないだり、組み合わせたりしてダンスフロアに流すDJプレイは、実は量子プログラミングの行為に似ているといいます。今回の新常設展示「量子コンピュータ・ディスコ」では、そんなDJ体験を通じて、量子研究の基礎から応用までを学ぶことができる展示となっています。



「量子コンピュータ・ディスコ」も「未読の宇宙」も、理論の理解以上に、“楽しむ・体験する”ことに重点が置かれた展示内容です。
未来館の新しい常設展示は、「複雑で難しい」「前提知識がないと理解できないのでは…」と敬遠されがちな量子、宇宙といったテーマに、構えることなくふれることができるようになっています。
量子技術や宇宙技術が社会にも実装されはじめている今、「楽しむ」という観点で研究の最先端を学べる絶好の機会になりそうです。
展示情報
展示エリア:3階・5階 常設展示ゾーン
休館日:火曜日(祝日や春夏冬休み期間などは開館の場合あり)、年末年始(12/28~1/1)
開館時間:10:00~17:00(入館券の購入・受付は16:30まで)
入館料:大人 630円、18歳以下 210円、未就学児 無料
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