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宇宙で微細藻類の培養を目指す IDDK、高砂電気工業、ユーグレナが専用装置開発

超小型細胞培養モジュールのイメージ図
Credit: 株式会社ユーグレナ プレスリリース

株式会社IDDK(東京都江東区、代表取締役 上野宗一郎)、高砂電気工業株式会社(愛知県名古屋市、代表取締役社長(未来創造カンパニー長) 平谷治之)、株式会社ユーグレナ(東京都港区、代表取締役社長 出雲充)の3社は、2023年8月30日、共同で宇宙空間向けの超小型細胞培養モジュールを開発したと発表した。

食料源・酸素供給源として期待される微細藻類の宇宙での培養を目指す

微細藻類・ユーグレナを活用したビジネスを各種展開しているユーグレナ社だが、微細藻類は、宇宙開発において食料源や酸素供給源としての可能性も期待されており、現在さまざまな研究が進められている。

一方で、限りのある宇宙空間での実験には資材の軽量化と低容量化が不可欠という制約がある。

こうした中で株式会社ElevationSpace(宮城県仙台市、代表取締役CEO 小林稜平)とユーグレナ社は、微細藻類ユーグレナの宇宙培養を目指して2022年に覚書を締結。
その後、小型人工衛星に搭載する超小型細胞培養モジュールの開発を実現するため、顕微鏡の最先端技術をもつIDDK、小型ポンプ等のパイオニアである高砂電気工業との共同開発を開始、今回の宇宙空間向け超小型細胞培養モジュール開発に至った。

今回開発したモジュールは、ElevationSpaceから宇宙用機器開発に係る知見の提供・構造設計支援を得ながらユーグレナ社が設計・制作を実施。

培養状況を観察するIDDKのレンズレス顕微観察装置「MID」と、培地を供給するための高砂電気工業の超小型バルブ、タンクユニットを搭載しつつも総重量200g以下という制約をクリアし、細胞培養の高度な制御も実現しているという。

宇宙空間での細胞実験のコストが低下、研究開発の加速に期待

今回開発された宇宙空間向け超小型細胞培養モジュールは、微細藻類ユーグレナの培養実験に使用される予定で、2025年にElevationSpaceが展開する宇宙環境利用・回収プラットフォーム「ELS-R」に搭載されて地上200~1,000kmの低軌道に打ち上げられる。

「ELS-R」は、無人の小型衛星を使用して無重力環境での実証や実験を行い、それを地球に帰還させて顧客に返すサービス。
国際宇宙ステーション(ISS)での実験に比較し、高頻度に利用できる点、実証・実験内容の自由度が高い点、計画から実証・実験までのリードタイムを短くできる点が特徴となっている。

このモジュールと「ELS-R」の活用により、従来では数千万円規模のコストがかかっていた宇宙空間での細胞実験が数百万円程度で行えるようになるという。

また、これまで難しいとされていた人工衛星に搭載可能な遠隔・自動生物実験装置の実現と、その開発期間短縮も可能となった。

本モジュールは、宇宙空間での微細藻類ユーグレナの成長や挙動の調査だけでなく、医療分野などさまざまな研究分野での活用も期待されているという。今後、どのような研究成果が生まれるかに注目が集まりそうだ。

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