2023年11月28日、シャープ株式会社（大阪府堺市、代表取締役 社長執行役員 兼 CEO 呉柏勲）は、LEO（低軌道）／MEO（中軌道）衛星通信向け地上局用フラットパネルアンテナの開発を開始したと発表した。
海上や山地など、基地局とのモバイルデータ通信が困難な場所での高速大容量通信の実現とともに、将来的にはドローンや自動車への搭載も目指すという。
日本には海上や山地、島嶼部など、基地局とのモバイルデータ通信が困難なエリアが多く存在する。
これらエリアの一部ではすでに衛星通信が活用されているが、最近では、従来から衛星通信に使用されてきたGEO（静止軌道）衛星よりも、地球に近い軌道から電波を送ることができるLEO／MEO衛星の有用性が注目されている。
こうした状況をふまえ、シャープでは、スマートフォン設計で培った高周波技術や高効率放熱技術、センサー技術などを活用し、電波の損失が少なく安定的な通信を提供するLEO／MEO衛星通信アンテナの開発に取り組む。
今回開発を目指すアンテナは、本体が小型かつ軽量で、船舶などへの搭載が可能なもの。
将来的には幅広い帯域で使用できるKa／Ku帯デュアルバンド対応に加え、さらなる小型化を実現し、ドローンや自動車などに搭載することで、山地や災害時の被災地の通信回線確保や自動運転車への活用など、モビリティ分野での用途開発にも取り組むとしている。
この開発プロジェクトは、今年10月31日に採択された、国立研究開発法人情報通信研究機構（NICT）による「革新的情報通信技術（Beyond 5G（6G））基金事業」の「社会実装・海外展開志向型戦略的プログラム」公募に基づくもの。
今後、衛星通信の活用が想定される場面での概念実証を実施するとともに、本格的な普及と持続的な事業展開を見据え、関係企業・団体と連携して衛星通信で用いられる無線通信技術や映像符号化技術の国際標準化を推進し、2024年度中の商品化を目標に開発を進めていくという。
