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衛星測位のデータを活用しダイヤ改正、バス利用者が増加 LocationMind

Credit: LocationMind株式会社 プレスリリース

2024年1月10日、東京大学発のAIベンチャー・LocationMind株式会社(東京都千代田区、代表取締役CEO 桐谷直毅)と兵庫県を拠点に乗合バス事業などを展開する神姫バス株式会社(兵庫県姫路市、代表取締役社長 長尾真)は、GPSデータを活用して効率的なダイヤ編成を行った結果、バス利用者数が増加したと発表した。

これは、2022年7月よりLocationMindと神姫バスが行ってきたGPSデータを活用したバス運行の効率化に関する実証実験の成果。

神姫バスでは、「新神戸駅・三宮駅~ポートアイランド・神戸空港線」や「神戸駅~ポートアイランド線」の通勤等の利用にかかわる一部の運行系統を対象に、GPSデータを用いて人の移動量を推計。

それに基づき運行便数や時刻を調整したうえで、2023年4月1日のダイヤ改正に反映し、改正後半年間、その成果をモニタリングした。

今回用いられたGPSデータ「LocationMind xPop」は、NTTドコモが提供するアプリケーションの利用者から許諾を得たうえで送信される携帯電話の位置情報を、NTTドコモが総体的かつ統計的に加工したもの。位置情報は最短5分ごとに測位されるGPSデータ(緯度経度情報)であり、個人を特定する情報は含まれない。

また、モニタリングには、自社便乗降客数の増減と、自社便が運行するエリア拠点(例:空港や駅など)の利用者数の増減を比較する手法を採用。ベンチマークには神戸市ホームページに掲載される空港利用者数、LocationMindがモニタリングする駅の改札通過者数の推計値が使用された。

GPSデータからは、

  • 全体的にピーク時間が想定より早いこと
  • ポートアイランド内各エリアの事業所からの帰宅者のピーク時間がエリアごとに少しずつ異なること

が判明したため、神姫バスではエリアおよび時間帯別人流の大小に応じて各バス停での停車便数の見直しとともに、事業所が密集、かつ島内駅までの距離が遠いエリアに位置するバス停で、従来運行系統の経路延伸により停車便数を大幅に拡充。

その結果、対象の各運行系統において、コロナ禍中(2022年4~9月)からコロナ禍明け(2023年4~9月)の人流の増加トレンドを上回る利用者数の増加が確認された。

特に、「神戸駅~ポートアイランド線」の夕方・夜間における「神戸医療産業都市→神戸駅」の運行系統では、運行本数自体は増減させずに、沿線駅の人流の増加トレンド約1.1倍に対し、利用者数は約1.3~1.5倍と増加が見られたという。

現在、過疎化による需要減や人手不足などにより、特に地方を中心に効率的で持続可能な交通システムの確立が求められている。

宇宙データであるGPSを活用したこの取り組みは、多くの地域の参考となりそうだ。

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