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6/24宇宙ニュース・ispace、ミッション2失敗の要因分析を発表 ほか3件

ispace、ミッション2失敗の要因分析を発表 レーザー距離計の異常が原因と特定

技術要因報告会のアーカイブ映像
Credit: HAKUTO-Rチャンネル

2025年6月24日、株式会社ispace(東京都中央区、代表取締役:袴田武史)はMission 2 “SMBC x HAKUTO-R VENTURE MOON”(以下ミッション2)の月着陸船(ランダー)「RESILIENCE(レジリエンス)」着陸失敗に関する技術要因の報告会を開催し、原因をランダーに搭載されていたレーザー距離計(LRF)のハードウェア異常と特定したと発表しました。

報告会では、技術的な要因分析をミッション2開発統括の日達佳嗣氏が説明。ミッション2では予定の高度でLRFによる測距が始まらず、その後、測距が開始され急減速が行われたものの間に合わず、月面に衝突しました。

同社によると、事後のテレメトリ分析からソフトウェア上の異常は確認されなかったことから、ハードウェア上の問題の可能性があると推定。推進系の異常やLRFの取付方向の誤り、姿勢異常を否定したうえで、LRFの異常の背景として、宇宙環境(放射線・真空・温度・熱サイクル特性等)による影響や、月表面からの反射が想定よりも低かった可能性などが考えられるとしています。

2023年のミッション1の失敗ではソフトウェア異常が原因でしたが、今回はハードウェア側の異常が原因と見られるとのこと。なお、LRFは開発コストの兼ね合いからフライトプルーフ(宇宙航空仕様)ではないものを用い、事前に性能試験を行って使用を判断したとしています。

また、CTOの氏家亮氏は分析を受けた改善策について説明。今後のミッションに向け、LRFを含む着陸センサーの選定・構成・運用と検証計画の見直しを行うとともに、宇宙機関在籍者・経験者を含む第三者専門家による「改善タスクフォース」を立ち上げる方針などを示しました。

改善策の実施により、ミッション3・4の合計で最大15億円程度の開発費用増が見込まれるということですが、現時点で開発スケジュールへの影響はないとしています。

一方でispaceは、ミッション2を通し月周回までの輸送能力の実証、2つの異なる条件下での着陸シーケンスデータの獲得、誘導制御機能の実証といった技術的成果や、開発期間や打上げから初期運用フェーズ完了までの期間の削減など、開発・運用面での効率化も達成したとしています。

H-ⅡAロケット50号機の打上げ、6/29に再設定 H-ⅡAは今打上げで引退

2025年6月24日、宇宙航空研究開発機構(JAXA)、ならびに三菱重工業株式会社(東京都千代田、社長CEO:伊藤栄作)は、温室効果ガス・水循環観測技術衛星(GOSAT-GW)を搭載したH-ⅡAロケット50号機の打上げを6月29日(日)に再設定したと発表しました。

打上げ日程の詳細は下記のとおりです。

打上げ予定日:2025年6月29日(日)
打上げ予定時間帯:午前1時33分03秒~午前1時52分00秒(日本標準時)
打上げ予備期間:2025年6月30日(月)~2025年7月31日(木)
打上げ場所:種子島宇宙センター 大型ロケット発射場

H-ⅡAロケット50号機は24日の打上げが予定されていましたが、第2段機体の電気系統の確認のため、日程が延期されていました。その結果、同系統にある機器単体の異常が原因であることが確認され、今日までに当該機器の交換と再点検が完了したとのことです。

日揮HD、ISTよりロケット試験・燃料設備等の新設プロジェクトを受注

Credit: 日揮ホールディングス株式会社 プレスリリース(出典:IST)

2025年6月24日、日揮ホールディングス株式会社(神奈川県横浜市、代表取締役会長兼社長CEO:佐藤雅之)は、同社の国内EPC事業会社である日揮株式会社(神奈川県横浜市、代表取締役社長執行役員:山口康春)が、インターステラテクノロジズ株式会社(北海道大樹町、代表取締役CEO:稲川貴大、以下IST)より、ロケット試験・燃料設備等を新設するEPC(設計、調達、建設の一括請負)プロジェクトを受注したと発表しました。

これは、ISTが開発を進めている液化バイオメタンを燃料とした新型ロケット「ZERO」の打ち上げにかかわる各種設備の建設プロジェクトで、大樹町では商業宇宙港「北海道スペースポート」(HOSPO)にて人工衛星打上げ用の新発射場としてLaunch Complex1(LC1)の整備を進めていますが、ISTがLC1の優先事業者に選定されたため(参考記事)、日揮はISTから発注を受け、LC1におけるZERO打ち上げ用の試験・燃料設備等の基盤設備を構築することになったとのことです。

具体的には、ロケット試験・燃料設備(液化窒素空調設備、液化メタン処理設備、液化メタン貯蔵設備、液化酸素貯蔵設備、貯水槽・防消火設備および電源・通信設備等)に係る設計、機材調達および建設工事役務を行う契約。受注金額は非公表とされています。

フィンランドのICEYE、オランダ空軍へ衛星による「ISR能力」提供で契約締結

Credit: ICEYE ウェブサイト

2025年6月23日、フィンランドのICEYE(フィンランド・ヘルシンキ、共同創業者:Rafal Modrzewski、Pekka Laurila)は、オランダ空軍(RNLAF)に情報収集・警戒監視・偵察(ISR)システムを提供する契約を締結したと発表しました(ICEYEによる発表)。

ICEYEは合成開口レーダー(SAR)衛星コンステレーションの運用やデータサービスを手がけていますが、今回の契約には25センチメートル解像度のSAR衛星4機、地上セグメント・アンテナ、AI駆動の画像情報ハブを備えた移動式地上セグメントの提供と、同社の既存の衛星コンステレーションからの衛星データ販売も含まれているとのことです。

同社ではこの契約を通じ、オランダの宇宙ベース防衛能力の向上と、独自のISR資産による国家安全保障の強化が図られるとしています。

ICEYEは5月にフランスの航空宇宙・防衛領域AI企業のSafran. AIとパートナーシップを締結して政治機関向けに情報ソリューションを提供するとしています(参考記事)。

各国が独自の防衛・情報収集能力の強化に動く中、宇宙からの衛星による観測技術は安全保障に欠かせないものとなっていることがうかがえます。

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