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金型部品のパンチ工業、ダイモンの月面探査計画「Project YAOKI」に参画

金型部品の製造・販売および金型関連の付属品販売を提供するパンチ工業株式会社は2023年5月8日、ロボット・宇宙技術開発ベンチャーの株式会社ダイモンと技術パートナー契約を締結し、同社が手掛ける月面探査計画「Project YAOKI(ヤオキ)」の一員として参画すると発表しました。パンチ工業は、月面探査車への3Dスキャナ計測サービスの提供を契機に、金属部品加工や金属一体化技術「P-Bas(接合や焼結の技術を意味するパンチ工業独自の造語)」による新素材開発で、月面実験プラットフォームであるYAOKIと連携するということです。

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Credit: パンチ工業株式会社

人類の活動拠点構築に向けた月面探査計画「Project YAOKI」

「Project YAOKI」は、ダイモンが開発した月面探査車YAOKIを月面に輸送し、月面走行および月表面の接写画像データの獲得を行い、資源確保や居住区など人類の活動拠点構築に向けた月面探査を行うプロジェクトです。

2023年には、米航空宇宙局(NASA)の商業月面輸送サービス(CLPS)に採択された、米国の民間企業インテュイティブ・マシーンズ社のミッション「IM-2」で打上げる月着陸船「Nova-C」に、YAOKIが1台搭載される予定だということです。

超小型、超軽量、高強度の月面探査車「YAOKI」
Credit: 株式会社ダイモン

3D計測をはじめとした技術を月面探査車に応用

パンチ工業は、3Dスキャナによる形状測定サービス「3D計測パートナーズ」の技術を活用し、設計と実機の精度保証や、ケースと本体のクリアランス(隙間)仮説検証などを実施することで、月へのYAOKI打上げの土台作りに貢献する考えです。

また、「P-Bas」の焼結技術を用いて、軽量かつ耐摩擦性、および耐熱性に優れた合金を開発し、YAOKI車輪への使用を目指すほか、YAOKIの車輪と本体をつなぐ、モーター軸固定用部品の加工(高硬度アルミ材)も手掛けるとしています。

新規・既存事業の拡大に向け航空宇宙産業への参入を目指す

2027年に予定される月面基地建設で使用されるロボットは、探査車から建機(電動式、超軽量式)となり、各種ロボットの移動距離も長距離かつ高速が求められる時代が到来すると見込まれています。

同社は、これらの背景から先行して宇宙ビジネスに参入し、複合材新素材の活用(建機などの足回り)などで得られた技術を地球上での既存事業や新規事業に活用することを目指しています。

また、パンチグループは、中期経営計画「バリュークリエーション2024」において、ものづくりにおける自動化・省人化需要を新たな成長エンジンとして設定しています。
その達成に向けた重点経営課題として「新規・既存事業の拡大」「生産体制の強化」「R&D強化」の3つを掲げるとともに、それらの課題への取組みを支える経営基盤の強化策として「DX推進」「財務戦略」「サステナビリティ」に取組んでいるということです。

今回のダイモンとの業務提携により、このうち「新規・既存事業の拡大」の施策の一つである「受注サービスの強化」、また「R&D強化」の取組みの一環である「P-Bas」と「航空宇宙関連の強化」のさらなる推進を図る計画としています。