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アジア・太平洋から宇宙関係者が集結 災害対応から教育まで、幅広く議論 ―APRSAF-31 レポート

宇宙機関や行政・企業・アカデミアが一堂に会する、年に一度の国際イベント

2025年11月18日から21日、フィリピンのセブ島にて、APRSAF-31(第31回アジア・太平洋地域宇宙機関会議)が開催されました。

APRSAF(Asia-Pacific Regional Space Agency Forum)は、1993年にアジア・太平洋地域における宇宙利用の促進を目的として設立された会議体で、アジア太平洋地域の宇宙機関や行政機関が集結し、宇宙開発に関する国際協力の具体的な検討や、将来計画などを議論する会合の場です。

宇宙機関・行政機関だけでなく、民間企業や大学・研究機関なども参加することができ、立場の異なる組織が同じ場で課題解決に向けた議論を交わすことができるため、宇宙開発や各地域の現状など、最新の情報をキャッチアップすることができる機会でもあります。

開催地のセブ島では9月に大地震が発生し、学会と同月の11月には大型台風が直撃。今でも多くの方が避難生活を余儀なくされています。会場周辺は被害がそれほど大きくなかったものの、現地の方のお話によるとセブ州の他の地域では家が流され、多くの死者が出るような甚大な被害があったとのことです。APRSAFでは、このような災害への対策についても、多くの議論が交わされます。

宇宙技術・宇宙利用を通じて世界の課題を解決する

今年の年次会テーマとして掲げられた「Empowering the Region through Space Ecosystems in Action(宇宙エコシステムの活用を通じて地域に力を与える)」には、アジア太平洋地域の各国に共通する課題である災害や気候変動への対応に向けて、宇宙分野の研究開発およびイノベーションを通じて宇宙能力を継続的に発展させ、経済成長を促進するという意味が込められており、今回の自然災害とも深く関連する内容となりました。

1、2日目は各ワーキンググループに分かれて議論や情報交換などが行われ、3、4日目のプレナリーセッションでは、1、2日目の実施報告やパネルディスカッション、国別の宇宙活動が報告されました。

開会式で挨拶した文部科学省の松本洋平大臣

APRSAFには、社会便益のための衛星利用分科会(SAWG)、宇宙能力向上文化会(SCWG)、宇宙教育 for All分科会(SE4AWG)、宇宙フロンティア分科会(SFWG)、宇宙法政策分科会(SPLWG)という5つの分科会が存在し、そのうちSE4AWGでは「高等教育層を含む全ての年代に宇宙教育機会の提供」を目的とした取り組みが行われています。

会期4日目に、Prof. Steven Freeland(Western Sydney University)、大西卓哉宇宙飛行士(JAXA)、若田光一宇宙飛行士(Axiom Space)、山中敦之氏(JICA)、Dr. Reinabelle C. Reyes(フィリピン宇宙庁:PhilSA)らがパネリストとして登壇したプレナリーセッション内でも、宇宙人材として活躍するために重要な点について、ディスカッションが行われていました。

宇宙人材の育成に関するパネルディスカッションの様子。左から、Prof. Steven Freeland、大西卓哉宇宙飛行士、若田光一宇宙飛行士、山中敦之氏、Dr. Reinabelle C. Reyes
日本政府関係者によって、日本の宇宙活動の発表も行われました

今回のAPRSAF-31では、議論の成果として共同声明が発表され、「宇宙技術を活用した社会課題解決と持続可能な発展」「宇宙フロンティアの拡大と宇宙探査の促進」「宇宙教育と人材開発の拡大」「宇宙産業・政策・能力向上のための国際協力」の4つを柱に、これまでの取り組みとその重要性の再確認、今後に向けた期待などが示されました(共同声明の全文はこちら)。

最終日の終盤には次回以降(APRSAF-32、33)の開催地も発表され、第32回はタイのバンコク、第33回は日本の福岡での開催が決定しました。

また、会期中にはフィリピンの現大統領であるフェルディナンド・ロムアルデス・“ボンボン”・マルコス・ジュニア大統領も会場を訪れ、プレナリーセッションと衛星関連の展示ブースを中心に視察しました。

展示ブースの一部を紹介!

APRSAFでは、会議だけでなく展示も行われます。

会場のホワイエにはさまざまな国の民間宇宙企業や宇宙機関のブースが立ち並び、日本の民間企業も数多く出展していました。最後に、その一部を写真でご紹介します。

展示エリア全体の様子
MEXT-SX Project:株式会社パスコ、株式会社NTTデータ、株式会社Marble Visions、一般財団法人リモート・センシング技術センターによる共同出展。防災・農業等の分野におけるデジタルトランスフォーメーションを推進する、衛星データとAI技術を活用したソリューションを紹介
Surrey Satellite Technology Ltd(SSTL):イギリスの宇宙企業である同社は、NovaSAR(小型Sバンド合成開口レーダー〔SAR〕)等を紹介
有人宇宙システム株式会社(JAMSS):科学技術から教育、地方創生まで幅広く使える宇宙利用サービス「Kirara」や民間宇宙ステーションにて利用可能な多目的ロッカー「KLABOX」のモデルが展示されていました
CONSEO(衛星地球観測コンソーシアム)/JAXA(宇宙航空研究開発機構):衛星地球観測のエコシステム創出を目指す産学官の共創と新規参入の促進を目的としたCONSEO活動およびCONSEO会員のユースケース、ならびにJAXAの地球観測プログラム・重点テーマの取り組みを紹介

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