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3機目となる小型SAR衛星「StriX-1」の打上げに成功!株式会社Synspectiveで働く社員の声

Credit: 株式会社Synspective

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合成開口レーダー(SAR)を搭載した小型衛星の開発・運用から、政府や民間企業へ向けて、衛星データソリューションの提供までを行っている株式会社Synspective(シンスペクティブ)(以下、Synspective)。Synspectiveでは、これまでに2020年12月に「StriX-α(ストリクス・アルファ)」、2022年3月に「StriX-β(ストリクス・ベータ)」の打上げに成功しています。そして、2022年9月16日に3機目の商用実証機「StriX-1(ストリクス・ワン)」の軌道投入にも成功しました。さらに、2023年末までに合計6機の小型SAR衛星を打上げ、2026年前後の小型SAR衛星30機からなる衛星コンステレーション(衛星群)の構築を目指す、宇宙業界の最先端で活躍する企業です。

今回は、Synspective社員の岩谷彩花氏と角屋暁史氏にインタビューをし、宇宙業界での働き方やこれからについてのお話を伺いました。

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岩谷彩花 Ayaka Iwatani
前職:ITコンサル
入社年: 2021年
部署: ソリューション部
趣味: パルクール
大学の専門: 法学

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角屋暁史 Akifumi Sumiya
前職:電機メーカー、コンサル、医療系メガベンチャー
入社年: 2021年
部署: ソリューション部
趣味: 株式投資
大学の専門: 政治学

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前回の記事はこちら:

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Synspectiveでの仕事

「StriX」の1/4模型
Credit: 株式会社Synspective

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―本日はよろしくお願いします。はじめに、Synspectiveでの仕事内容とやりがいについて教えてください。

岩谷氏 私の仕事は、衛星データのソリューションを提供するプロジェクトのマネジメントです。サービスや課題などで悩まれている顧客の方に対して、Synspectiveのサービスをどう活用できるのか、どのような情報を得ることができるのか、ということをプロジェクトベースで探る際に、全体の統括を担当することが多いです。入社以来、こちらの業務をメインとしつつ、複数の案件を同時並行で行っています。

そして、プロジェクトに関わる社員のメンバーが、ビジネスサイドだけではなく、衛星やサービスの開発者もいるので、多様なバックグラウンドの人たちと共に一つの案件を達成するというのは、非常にやりがいがあります。

角屋氏 私は、衛星データの販売から、ソリューション事業開発や災害関連サービス責任者を務めています。。その中でも、主に取り組んでいるのは衛星ソリューションの事業開発です。具体的には、災害・減災、インフラ管理分野での衛星ソリューションを深堀り、新しい活用方法の模索、他のサービスと組み合わせたアイデア出しなどを行っています。達成するには、幅広い知識が必要になりますし、時には専門家の意見を聞くこともありますが、自分のキャリアアップにもつながるので選好みせず、何でも取り組んでいます。

SAR衛星データを活用したソリューション開発は、特に民間市場では新規成長分野で、まだ成功事例が少ないですが、顧客と共にトライしてみて、未来に可能性を感じるというフィードバックをもらえた時にはやりがいを感じますね。

また衛星の開発・運用チームと違って、ソリューションの方は本当に色々な人が多いです。全員が宇宙関連にバックグラウンドがあるわけではないので、衛星データを扱ってない方ともナレッジを共有し合って新しいことに挑戦していく、そういうところにポテンシャルですとか、やりがいを感じます。

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―とてもやりがいを感じられているのが伝わってきました!その一方で、入社してから苦労していることなどはありますでしょうか。

岩谷氏 社員は、日本人と外国人が7対3の割合で所属しているのですが、英語でのコミュニケーションが難しいと感じています。育ってきた国が違うので、その前提となる文化や知識も違ってきます。なので、自分の言ったことが正確に伝わっていないかもしれないとか、相手の言ったことをちゃんと理解できていないかも、という不安があります。そういうこともあって、文字にするということが大事だと気づきました。とっさに出る英語でのコミュニケーションだけではなくて、文字でのやりとりを行うことで、そうした認識の違いなどをカバーすることができています。ただ、文字だけですと感情面が見えてこないので、オンラインでのミーティングも実施するようにしています。ちなみに、私は基本リモートワークをしていますが、こうしたミーティングや文字でのやりとりを徹底することで、スムーズな業務遂行や、メンバーとも密なやり取りができています。

テーブルに座っている女性

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角屋氏 私のバックグラウンドも元々は宇宙関連ではないので、入社当初から、宇宙に関わる人たちにどう近づいたら良いのか、どうナレッジを引き出していくか、というところを意識しています。これは、私たちから寄り添っていくことが重要です。彼らの専門部分についてしっかりと勉強をして、彼らの言葉で会話ができるように頑張っています。しかし、Synspectiveのサービスはかなり専門的なもので、顧客が求めるレベルではないことも少なくありません。こうした時に、専門的なサービスを顧客の要望にどう伝えたら近づけられるのか、どう変換していくのか、という部分が難しいです。

入社して1年半も経つと知識も増えてきますから、今度は宇宙を知らない方たちにどう寄り添っていくのかを意識していかなくてはいけません。最初の段階で、よく分からないな、難しいなって思われてしまえば、二度と関わってくれなくなってしまいますから、そこを意識して取り組んでいます。

ノートパソコンを使っている男性

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宇宙業界に入ったきっかけ

―お二人とも前職までは宇宙業界ではなかったとのことですが、宇宙業界に入ったきっかけは何だったのでしょうか。

岩谷氏 まず転職を意識したのは、コロナ禍で多くの方が大変な思いをしているのを目の当たりにして、社会のために働きたいという気持ちが強くなったことです。そこで、オンライン環境が不十分なために満足に教育が受けられない子ども達がいるという状況に問題を感じ、教育業界をみましたが、自分とマッチする会社がなかったので方針を変え、産業を発展させるという観点で転職先を考えました。そこで、これから伸びていくであろう宇宙業界を志して、現在の会社と出会いました。

角屋氏 私は、これまで電機メーカー、コンサル、医療系メガベンチャーと携わってきて、次はシードかシリーズAくらいのベンチャーに行きたいと思っていました。そんな時に、たまたま個人的なつながりでSynspective代表取締役CEOの新井を紹介してもらったのがきっかけです。

宇宙業界については、今後盛り上がる気配を感じていましたし、電機メーカーでの経験を、衛星データを活用したインフラのモニタリングなどの場面で活かせそうだと感じました。それに宇宙業界は、まだまだ不確定要素が多くてチャレンジングですよね。宇宙業界にジョインして、今後伸びていく市場に関わりたいと思ったことがきっかけです。

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―宇宙に関する知見などは無くても大丈夫でしたか。

岩谷氏 現在も、自分で勉強をしながらキャッチアップをしています。宇宙に関する情報をまとめたメディアを観たり、Twitterで宇宙関連の人たちをフォローしたりしているのもその一環です。なぜなら、日本の宇宙業界におけるリアルタイムな情報は、Twitterで得ることが早いと感じているからです。

そういった点で、角屋さんはキャッチアップをするのがとても早いですよね。

角屋氏 ありがとうございます。宇宙業界に限らずとも、新しいことをする時にはキャッチアップをするように努力をしています。むしろ、業界に関するバックグラウンドがなくても飛び込んでいけるような人が、業界を盛り上げていけるのではないか、と思っています。

もちろん、技術的なバックアップは必要です。専門家の意見でしたり、過去の知見は大事にしていかなくてはなりません。ただ、そうした高度な専門的な知見がなくても、成立するような宇宙業界にしていきたいとは思っています。「Old Space」という隔離された世界ではなく、一見関係のないような人でも一緒に盛り上げていけるようにしていきたいです。

Synspectiveの魅力とこれから

―数ある宇宙企業の中で「Synspective」が持つ魅力は何でしょうか。

岩谷氏 衛星データのソリューションサービスを提供しながら、自社で衛星を持っているという点ですね。あとは、本当に多種多様な人がいて面白いです。海外の方もいるので、ラマダン(※)のために1週間休暇を取得する方がいたり、オフィスでお祈りしていたり、そういうところをきちんと受け入れてくれる会社です。「何をやるかよりも、誰とやるか」が大事だと思っているので、一緒に働いていて、仕事に対して充実して取り組んでいる人が多いと感じています。

※ラマダン(ラマダーン):イスラム教徒の神聖な儀式。日中の間は、断食を行い、自身を清めて、信仰心を強める期間のこと。

角屋氏 Synspectiveは数ある宇宙ベンチャーの中でも、事業も成長していて、評価ももらえている、期待値の高い会社です。世界最先端の技術があり、それをビジネスとして活用できる経営陣も揃っています。そのようなメンバーたちと、新しい市場を作っていけるというのは、とても魅力的です。

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―お二人が想う今後の目標について、お聞かせください。

岩谷氏 日本だけではなく、海外にも存在意義を示せるようなサービスの提供をしていきたいです。今後ますます加速する海外市場開拓で、支社の立ち上げやプロジェクトがあれば、積極的にメンバーとして携わりたいです。

角屋氏 小型SAR衛星は、今はまだ見出せていない活用方法が必ずあるので、それを見出すきっかけ作りをしていきたいです。そのためには、まず多くの人に知ってもらうことが重要です。コミュニティができたり、地域軸があったりして、初めてムーブメントにつながります。

多くの人に認知してもらうために、自社の衛星データを公開してみたり、撮影する場所を指定してみたり、クラウドファンディングをしてみたり、他にも、もっと奇想天外な使い方を見出して、広げていきたいです。堅実で真面目な方向だけを見せても、市場がシュリンク化してしまうので、今まで挑戦してこなかった斬新なアイデアを使ってみて、新しい関係性をつなげていきたいです。

例えば、衛星データで地盤の変動などを取り扱う時に、地盤変動の原因そのものだとセンシティブですが、ゴジラが歩いたらどうなるのか、など一見どうでもいいようなところに視点を変えてみると、地盤変動のデータを新しく解釈して、何か面白いものが生まれたり、そういうことを一つずつ積み重ねて、認知を広げていきたいです。SARに限らず、衛星を使ったモニタリングや解析の結果など、知られていないけど、実は様々なところで使われているところを、肌感覚として広めていくことが大事だと思います。

―宇宙業界は、これからどんな人材が求められると感じていますか?

岩谷氏 英語は重要だと思います。何より得られる情報が増えるので世界が広がります。ですが、それよりも大事なことは、先に進む道がなく、どうなるか全くわからないところでも、自ら道を作っていける力だと思います。

角屋氏 現在の宇宙産業は、確立したマーケットがあるにはありますが、発展性を考えると、世界観を持って、それをドライブしていく人材が必要です。宇宙産業は、マネタイズの前例があるわけではないので、合理的に考えると宇宙業界にジョインするというのは微妙です。ですが、月面探査や火星探査など、壮大感は限りなくあります。今の宇宙産業は、かつてのインターネット黎明期に近い部分があるので、最初のタッチポイントの先駆者になるという気概を持っているかも重要だと思います。

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Credit: 株式会社Synspective

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以上、Synspectiveの岩谷氏と角屋氏のインタビューでした。

未知の部分が多い宇宙業界に飛び込み、最先端で活躍されるSynspectiveの社員の方たちが、どのようなことを感じて働いているのか、未来に何を期待しているのか、リアルな一面を垣間見ることができたのではないでしょうか。今回のインタビューを通じて、宇宙業界にほんの少しでも魅力を感じた方は、是非これから先の未来へつながる一歩を、踏み出してみてはいかがでしょうか。