小型SAR(合成開口レーダー)衛星の開発・運用と衛星データの販売およびソリューションの提供を行う株式会社Synspective(東京都江東区、代表取締役CEO 新井元行)は、2024年1月24日、ウズベキスタン宇宙庁傘下のCenter for Space Monitoring and Geoinformation Technologiesと、カザフスタン政府によって設立された合資会社Kazakhstan Gharysh Sapary社と覚書を締結したことを発表した。
1月上旬にウズベキスタン・カザフスタンそれぞれで開催された「日本・ウズベキスタンビジネスフォーラム」と「日本・カザフスタンビジネスフォーラム」では、ウズベキスタンとカザフスタン、日本からの代表による立ち合いの下、覚書が締結された。
今回の覚書締結に基づき、同社は、ウズベキスタンで主に干渉SAR(InSAR)解析技術を用いた地震リスク評価のための共同研究を行う。
干渉SAR(InSAR)とは、衛星に搭載されたSARによって複数回同じ場所を観測することで、地表面の変化を調べる手法のこと。
人による地上観測が困難な状況でも地殻変動等を捉えることができ、また、空間分解能が高いため狭い範囲の変動も捉えることが可能。
ウズベキスタンやその近隣地域では大規模な地震や地すべりが発生しており、土地災害の監視と予測への期待が高まっているといい、地表面の変動量を観測することができるSARは地盤変動の監視に不可欠といえる。今回の共同研究を通じてウズベキスタンにおける地震リスクの評価・特定、ひいては防災・減災への貢献が期待される。
一方のカザフスタン・KGSとでは、地すべりや土石流、洪水などの災害対策や、気候変動の影響を抑えた効果的なインフラ管理など、地球リモートセンシングと衛星データの新たな活用方法の創出に取り組む予定。
また、国際的な商業プロジェクトに共同で参画し、同社の衛星データと分析ソリューションの利活用を促進することも目指す。こうした協業を通じ、双方の技術力を高め、革新的技術のさらなる可能性を探求していく構えだ。
今回の覚書締結を受け、Synspective 代表取締役CEOの新井元行氏は「両国の宇宙開発をけん引する機関とのMOU締結は、世界中で業界の垣根を超えてSARデータの利活用を促進し、パートナーと共に社会課題に挑戦するという私たちの使命を前進させる、たいへん光栄かつ大きな一歩です。中央アジアと日本におけるレジリエントなインフラ構築、効率的で安全な資源エネルギー開発に、弊社テクノロジーの発展を通じて貢献していきます。さらに、その経験・学習共有の輪を世界に拡げていくことで、パートナーと共に持続可能な未来の実現に向けて邁進してまいります」とコメントを発表。
日本の宇宙企業の技術が世界で活躍することを期待したい。