2024年6月6日、小型SAR(合成開口レーダー)衛星の開発・運用、SARデータの販売と解析ソリューション提供を行う株式会社Synspective(東京都江東区、代表取締役CEO 新井元行)は、同社の衛星「StriX-3」(2024年3月打ち上げ、参考記事)と「StriX-1」(2022年9月打ち上げ、参考記事)にて、日次干渉SAR解析向け画像のテスト観測に成功したと発表した。
「干渉SAR」とは、異なる日時に同条件下で観測された複数のSARデータに高度な処理を施すことで、微小な地表の動きを計測することができる手法。
今回は、異なる日時に観測された画像のペアを日次(1日回帰)で取得することに成功した。
同社によると、現時点で広く使用されている大型SAR衛星の画像取得頻度は最短で6日程度の間隔とされており、日次という高頻度での画像取得が可能になれば、建設現場の安全管理や災害予測・把握など、応用範囲が格段に広がるとしている。
今回公開された画像は、連続2日間の2時期ペア画像を用いて干渉SAR解析を実施したもの。
カラー画像はSAR画像の位相の差(1回目と2回目の観測波の位相差)を色の変化で表したもので、白黒の画像はSAR画像の干渉性の高さ(1回目と2回目の観測での観測波の位相の揃い具合)を色の明るさで表している。
画像全体にわたって高い干渉性が得られていることが確認できており、これらの画像をさらに解析することで、高さ方向の情報やミリメートルレベルの変動の検出に応用することができるという。
「中小企業イノベーション創出推進事業(SBIRフェーズ3)」(経済産業省)に採択されているSynspectiveでは、今後、日次干渉SAR画像の安定的な提供に関する技術開発・体制構築の推進とともに、干渉SAR解析関連のサービス構築も並行して進めていく構えだ。
同社がリリースで言及しているように、高頻度で地表の変化が検出できるようになれば、災害時の状況確認だけでなく予兆の検知や、建設現場での安全管理などがより精密に行えるようになり、高度な無人化・自動化への道が開けることになりそうだ。
このテスト観測が今後どのようなサービス実装につながっていくのかが楽しみだ。