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ゲームエンジンを活用して月面のシミュレーション環境を構築、ヒストリアとJAXAが共同研究開始

ゲームエンジン「Unreal Engine 5」で再現した月面
Credit: 株式会社ヒストリア プレスリリース

ゲームエンジン「Unreal Engine」専門の開発会社、株式会社ヒストリア(東京都品川区、代表取締役 佐々木瞬)は、2024年9月12日、JAXA(宇宙航空研究開発機構)と「Unreal Engine」を用いて月面シミュレーション環境を構築する共同研究を開始したと発表した。

ゲームエンジンとは、ゲーム開発に必要なグラフィックスの描画、音響の管理、コントローラーからの入力の処理、物理演算等を行うソフトウェアのことで、代表的なものにUnityやUnreal Engineなどがある。

今回の共同研究では、ゲームエンジン「Unreal Engine 5」(UE5)を用いて月面環境を高精度かつ広域に再現し、物理シミュレーションを含んだ統合的な月面のシミュレーション環境を構築することを目指す。

最初に、JAXAの小型月着陸実証機「SLIM」(参考記事)が撮影した画像の再現を目標に、月面の凹凸形状や岩石分布、太陽光のライティングなどを考慮した月面環境を構築する手法の確立に取り組むという。

今後は画像の再現率をより向上させ、将来的にはローバーの走行シミュレーションをはじめとしたさまざまな用途に活用していくことを目指す。

左/SLIMが撮影した画像、右/UE5で再現した月面環境
Credit: 株式会社ヒストリア プレスリリース

JAXAとの共同研究は、ヒストリア内のノンゲーム専門部隊「ヒストリア・エンタープライズ」が担当。ヒストリア・エンタープライズでは、過去に竣工前の新築マンションやビル、自動運転のための街、海上など、さまざまなロケーションをUnreal Engine上に構築してきた。

この数年で各国の宇宙機関や民間企業が月に探査機を送り込んでおり、月はこれまでより近い存在になりつつあるが、依然として人が直接向かうことはもちろん、機器の遠隔操作なども非常に難易度が高い。そのため、デジタル環境で精密なシミュレーションが行えることは、宇宙開発を進めるにあたって非常に重要な要素だ。

共同研究が進展し、構築されたシミュレーション環境が民間に広く開放されれば、そこから新たな技術開発やビジネス開発などが生まれることもあるかもしれない。

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