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12/5宇宙ニュース・ispace、民間月面探査プログラム「HAKUTO-R」終了へ ほか3件

ispace、民間月面探査プログラム「HAKUTO-R」終了 商業化初期フェーズに移行

Credit: 株式会社ispace プレスリリース

2025年12月5日、株式会社ispace(東京都中央区、代表取締役:袴田武史)は、民間月面探査プログラム「HAKUTO-R」について、今月7日の全22社のパートナー企業との契約満了をもって終了すると発表しました。

「HAKUTO-R」パートナー企業一覧
Credit: 株式会社ispace プレスリリース

「HAKUTO-R」は、民間企業による月ミッション実施を掲げて2018年に立ち上げ。月への高頻度・低コストの輸送サービスを提供することを目的とした小型のランダー(月着陸船)と、月面を探査するためのローバー(月面探査車)の開発を進め、2023年と2025年にミッションを実施しました(参考記事1参考記事2)。

2回のミッションとも、月への軟着陸成功は達成できませんでしたが、同社ではミッションを通じ、月周回軌道への到達や、ランダーの姿勢制御、誘導制御機能などを実証でき、パートナー企業やサポーターとともに、「民間企業による宇宙開発の歴史を拓くことができた」としています。

ispaceでは今後、研究開発(R&D)フェーズとして進めてきた「HAKUTO-R」の2回のミッションの学びを活かし、「商業化初期フェーズ」へと移行する構え。

2027年にNASAによるCLPSプログラムに選定されている米国主導のミッション3、2028年に経済産業省のSBIR補助金を活用して開発中の日本主導の新型のシリーズ3ランダー(仮称)を用いたミッション4を計画しており、歩みを進めていくとしています。

スターシグナル・ソリューションズ、航空自衛隊と宇宙状況把握分野で連携

署名を行うスターシグナル・ソリューションズ代表の岩城陽大氏
Credit: スターシグナル・ソリューションズ株式会社 プレスリリース

2025年12月5日、JAXA認定ベンチャーのスターシグナル・ソリューションズ株式会社(東京都中央区、代表取締役:岩城陽大)は、航空自衛隊 宇宙作戦群 第1宇宙作戦隊(東京都府中市)と、11月28日に宇宙状況把握(SSA)分野における官民連携を強化・推進に向けた覚書を締結したと発表しました。

今回の覚書は、スターシグナル・ソリューションズが提供する宇宙物体・領域観測サービスの試用・評価を通じて、宇宙状況把握に関する技術的知見の共有と協力が目的とのこと。

同社では、連携による観測データの活用や解析結果の共有を通じて、SSA業務における技術的検証を進め、将来的な官民協力モデルの構築を目指すとしています。

大韓航空社と現代ロテム、再使用型メタンロケットエンジンの共同開発に着手

2025年12月3日、大韓航空(韓国・ソウル、会長兼CEO:趙源泰)は、韓国・現代自動車グループの現代ロテム(韓国・京畿道、社長:李庸培)とともに、政府支援による支援プログラムの下、2030年10月までに次世代ロケット用の再使用型メタンロケットエンジンを共同開発すると発表しました(大韓航空による発表〔韓国語〕)。

同プログラムは韓国国防技術振興研究所が主管しており、プログラムの規模は、総額490億ウォン(約5億3,900万円)とのこと。

同プログラムで開発されるエンジンは35トン級の推力をもつものになる予定で、大韓航空がターボポンプの開発を、現代ロテムがエンジン設計や、パワーパック評価、燃焼室の製造を担当するということです。

大韓航空では、今回の事業を通じて獲得したコア技術をもとに、国防における宇宙力の強化、そして民間主導のニュースペース(New Space)時代を主導する技術的基盤を築いていくとしています。

【ミニレポート】エアライン関係者らが航空×宇宙の未来像を語る 「HANEDA EXPO 2025」内でトークセッション開催

トークセッションの様子

2025年11月28日、「空と宇宙の出会う場所 ─ 空港が拓く未来像」と題したトークセッションが開催されました。本セッションは、羽田イノベーションシティで実施されたイベント「HANEDA EXPO 2025 ~ミライの空港都市展示~」(主催:株式会社羽田未来総合研究所)内で行われたものです。

登壇者(画像右から)
・青木 英剛 氏 宇宙エバンジェリスト®/一般社団法人 Space Port Japan 創業理事
・内山 浩 氏 スカパーJSAT株式会社 宇宙事業部門 投資・協業推進局 プリンシパル
・熊谷 大地 氏 ANAホールディングス株式会社 グループ経営戦略室 事業推進部 宇宙事業チーム マネージャー
・東島 誠 氏 日本航空株式会社 イノベーション本部 事業開発部 宇宙グループ グループ長

青木氏と内山氏は航空機の操縦士資格、熊谷氏と東島氏は整備士資格を有しており、航空宇宙分野のスペシャリスト4名が「航空×宇宙」の未来を語りました。

セッションではまず、青木氏がロケットやスペースプレーンの離着陸拠点となるスペースポート(宇宙港)の概要や可能性を解説し、羽田空港が宇宙旅行における重要なハブになり得ると述べました。

熊谷氏からは、空港で培われたグランドスタッフ業務や整備業務のノウハウは、スペースポートにも応用できるとの見解が示され、航空×宇宙の高い親和性が語られました。

一方、東島氏は、宇宙へ行くには特別な訓練が必要という点で航空分野と異なると指摘。航空会社がもつ訓練施設などのアセットを活かし、空港周辺で宇宙旅行者向けの訓練や、一般向けの体験型プログラムを提供できるエンタメ施設の可能性について提案しました。

宇宙港の実現・拡大に向けた課題として、内山氏は有人宇宙輸送では安全性の確立に時間がかかるため、事業化との両立が難しいとしました。また、熊谷氏は航空業界では航空法に従えばよい一方、宇宙業界では自ら法整備に取り組む必要があり、マインドチェンジが重要であると述べました。

最後に登壇者全員が、誰もが宇宙に行ける時代が間もなく訪れると来場者に向けて語り、実現に向けてともにコラボレーションしていこうと呼びかけました。

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