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仏スポーツブランド、新型宇宙服プロトタイプの試験を来年実施

2025年12月5日、フランスのスポーツブランド・デカトロン(DECATHLON)は、2026年に国際宇宙ステーション(ISS)で船内活動用宇宙服プロトタイプ「ユーロスーツ(EUROSUIT)」の試験を実施すると発表しました。
これは、同社がフランス国立宇宙研究センター(CNES、参考記事)、フランスの宇宙スタートアップSPARTAN SPACE(フランス・マルセイユ、創業者兼CEO:Peter Weiss)、フランス宇宙医学・生理学研究所(MEDES)と共同で進める宇宙服プロジェクトで、打ち上げ・着陸時の安全性と人間工学的特性を向上させるために設計された「ユーロスーツ」は、2分以内に自律的に着脱できるということです。
軌道上での試験は、2026年にISSに滞在予定の欧州宇宙機関(ESA)宇宙飛行士のソフィー・アデノ(Sophie Adenot)氏が、着衣から、宇宙服に搭載されたタッチスクリーンの操作、脱衣まで一連の流れをテストするとのこと。
同プロジェクトでは、CNESがプロジェクトの統括などを、SPARTAN SPACEが技術構成管理と生命維持システムの開発を担当。また、研究機関であるMEDESが宇宙飛行士の生理学的パラメータをリアルタイムで監視する船内バイオモニタリングシステムを開発しています。そして、デカトロンはスーツのテキスタイルとエルゴノミクス設計を担当しているということです。
リモセンデータ解析のHelios、インキュベイトファンドから総額5,000万円調達 「地球知能インフラ」開発目指す

Credit: 株式会社Helios プレスリリース
2025年12月5日、リモートセンシングデータの解析や解析ツールの開発などを手がける株式会社Helios(東京都墨田区、取締役CEO:佐々木謙一)は、10月24日付で、ベンチャーキャピタルのインキュベイトファンド(東京都港区、代表パートナー:赤浦徹)を引受先とするシードラウンドにて、総額5,000万円の資金調達を実施したと発表しました。
Heliosは2024年創業。衛星データが急増する中で、専門知識や複雑な操作等が必要なことからその活用が十分に進んでいない状況を解決するため、多様な地球観測データを統合する「大規模地球モデル(Large Earth Model:LEM)」に基づいた解析プラットフォームの開発を掲げています。
同社では、MVP(Minimum Viable Product、実用最小限の製品)の開発は完了しており、調達資金を活用してプロダクト開発の加速と技術チームの構築、初期事例の創出・連携強化に取り組んでいくということです。
第25回JAPAN VENTURE AWARDSにLetara・平井翔大氏がノミネート

2025年12月8日、中小企業基盤整備機構(東京都港区、理事長:宮川正、以下 中小機構)は、革新的で潜在成長力の高い事業や社会課題解決を目指す事業を行う志の高いスタートアップ起業家などを表彰する「第25回Japan Venture Awards(第25回JVA)」ノミネート者を発表し、宇宙スタートアップ・Letara株式会社 代表取締役Co-CEOの平井翔大氏がノミネートされました。
平井氏のほかには医療やAI、人材などさまざまな領域のスタートアップ起業家がノミネートされており、12月18日(木)に東京都港区の虎ノ門ヒルズフォーラムで行われる表彰式にて、各賞の受賞者が発表される予定です。
Letaraは2020年に創業。プラスチックを燃料にした高推力・安全・安価な推進系の開発・製造を行っています。
【ミニレポート】どんなスキルも宇宙で活きる SPACETIDE Career Connect 2025 Winter開催される

2025年12月6日、ビジョンセンター東京虎ノ門を会場に、一般社団法人SPACETIDE(東京都港区、代表理事:石田真康)による、宇宙業界に特化したキャリアイベント「SPACETIDE Career Connect 2025 Winter」が開催されました。
同イベントは、SPACETIDEが宇宙業界への転職・就職に関心をもつ人と宇宙ビジネスの接点として企画しているもの。この日は宇宙スタートアップだけでなく、公的機関やアカデミアなど25社・団体がブースを設け、来場者へ事業紹介や募集職種の説明などを行いました。
また、会場ではトークセッションも実施されました。聴講者の6〜7割は非宇宙業界からの参加ということで、冒頭にSPACETIDE代表の石田氏が業界の概要や現状を紹介。
世界的な成長産業である宇宙産業の振興に国が大きな予算を割いているという後押しがある中、宇宙ビジネスに携わる人材が不足している状況を解説しました。
その後、ゲストとして、組織開発コンサルティングや次世代経営者の育成を手がける株式会社プロノバ代表取締役の岡島悦子氏と、Axiom Space宇宙飛行士の若田光一氏を迎え、トークセッションが行われました。
まず、若田氏はアメリカやロシアなど国家が開発した宇宙船と、SpaceXが開発した宇宙船・ドラゴンとの違いに言及。ドラゴンでは各種操作などが自動化されたことで訓練期間が短縮したことは大きな変化と語りました。
これに対し、岡島氏もAIエージェントなどが台頭して人がしなくてもよいことが増えていく中で、求められるスキルも変わっていくと応じました。
若田氏は、機器の操作や専門用語などは集中して勉強すれば慣れることができると話し、それ以上にコミュニケーション・チームワークなどのソフトスキルが今後いっそう重要になるとしました。
また、岡島氏は「多くの打席に立つ」ことができるのも宇宙業界の魅力だと指摘。さまざまな専門性をもつ人々がともに一つの目標に向かう中では、失敗を許容しつつ打席に立って挑戦していくことが大切であり、政府の後押しや投資などが集まっておりチャレンジと失敗への許容度がある宇宙業界は、そういった点でも強みがあると語りました。
本格的なビジネス展開に向け、現在、宇宙業界では事業開発や営業、マーケティングなど、文系出身者でも挑戦できる職種の募集も増えています。そこで必要とされるのは、業界の専門知識よりも、新たなことを学び続ける意欲や、失敗を恐れずチャレンジを続けるマインドだと言えそうです。
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