2024年4月10日(現地時間9日)、訪米中の盛山正仁文部科学大臣は、ビル・ネルソンNASA長官との間で、「与圧ローバによる月面探査に関する文部科学省と米航空宇宙局の実施取決め」に署名した。
日本人宇宙飛行士2名が月面で活動
この実施取決めは、2023年1月署名、同年6月に発効した「平和的目的のための月その他の天体を含む宇宙空間の探査及び利用における協力のための日本政府とアメリカ合衆国政府との間の枠組協定(日・米宇宙協力に関する枠組協定)」に基づくもの。
日本は2019年10月に宇宙開発戦略本部でアルテミス計画への参画を決定し、国としての協力項目の具体化についての国際調整や技術検討などを進めてきた。
今回の実施取決めは、「日・米宇宙協力に関する枠組協定」の下で締結される初めてのものとなる。
同実施取決めで、日本は有人与圧ローバの提供の役割を担う。また、日本人宇宙飛行士2名の月面活動機会が規定されており、2020年代後半から2030年代初頭に、日本人宇宙飛行士が月面に降り立つ姿が見られることになりそうだ。
有人与圧ローバーとは
今回署名された実施取決めで日本が提供する「有人与圧ローバー」とは、世界初・唯一の月面走行システムで、ローバー内では宇宙服なしで居住することができる。
JAXAとトヨタは、2019年から有人与圧ローバ(愛称:ルナクルーザー)の共同研究を進めており、重力が地球の6分の1、温度はマイナス170~120℃、真空、強い放射線、地表面がレゴリスに覆われているといった、過酷な月面環境に耐えるための技術が必要となる。
有人与圧ローバーは、今後の月面探査において人類の活動領域を大幅な拡大に大きく貢献する。日本人宇宙飛行士の月での活躍とともに、ローバー開発の推移にも注目だ。