2024年8月19日、株式会社アストロスケールホールディングス(東京都墨田区、代表取締役社長兼CEO 岡田光信)は、同社の日本連結子会社である株式会社アストロスケールが、JAXA(宇宙航空研究開発機構)との間で、商業デブリ除去実証(CRD2)フェーズⅡの大型契約を8月20日に締結すると発表した。
受注金額は120億円で、契約期間は2029年3月末まで。
この契約について同社は、当社グループ史上最大規模の受注であり、今後継続的なADR(Active Debris Removal、積極的デブリ除去)を展開するうえで重要なミッションと位置づけている、としている。
「商業デブリ除去実証(CRD2)」は、デブリ除去プログラムを起点に新しい宇宙事業を開拓し、日本企業が新たな市場を獲得することを目的とした、JAXAのプロジェクト。
軌道上にある日本由来のデブリであるロケット上段を対象に、2つのフェーズで大型デブリへの近傍接近と除去の実証実現を目指すもので、アストロスケールは、フェーズⅠで商業デブリ除去実証衛星「ADRAS-J(Active Debris Removal by Astroscale-Japan)」を開発、2024年2月からミッションを実施しており、2009年に打上げられた日本のH2Aロケットの上段を対象に近傍制御を行い、その運動や損傷・劣化がわかる画像データを取得した(参考記事)。
フェーズⅡでは、フェーズⅠと同様にデブリへ接近、近傍制御し、さらなる画像データを取得するとともに、デブリ除去としてその捕獲や軌道離脱も行う予定。今後、捕獲機構であるロボットアームを含め、フェーズⅡで運用する「ADRAS-J2(Active Debris Removal by Astroscale-Japan2)」の開発を進めていくとしている。
アストロスケールの英国子会社では、先日、欧州の航空機大手エアバスと覚書を締結しており、その中には今後のミッションでエアバスのロボットアーム「ビスパ」を取り入れる可能性の模索という項目も含まれている(参考記事)。
今後のデブリ除去の実証において、こうした他社との連携がどのように生きてくるのかにも注目したい。