2024年9月24日、株式会社スペースデータ(東京都渋谷区、代表取締役社長 佐藤航陽)は、国際連合宇宙部(UNOOSA、以下「国連宇宙部」)と共同で、「地球デジタルツイン」構築事業を開始したと発表した。
国連宇宙部は、宇宙を専門とする唯一の国連機関で、宇宙データおよび情報へのアクセス提供による各国の能力開発や、宇宙関連技術を利用した国連活動の調整などを行っており、日本人宇宙飛行士の土井隆雄氏も職員として活躍していたことがある組織。
今回の取り組みでは、世界各国の災害管理および緊急対応、開発途上国の持続可能な開発へ協力することを目的に、国連宇宙部が運用する「災害管理サイクル」にスペースデータの高精度デジタルツイン技術を実装し、自然災害への対策強化を図る。
「災害管理サイクル」では開発途上国を中心に数千の都市を支援しているが、バーチャル空間に現実そっくりの仮想世界を生成するデジタルツイン技術を取り入れることで、世界中のさまざまな都市の高精度デジタルツインを生成し、天災や気候変動など様々な要因に対するリスクをシミュレートすることで、その影響度を可視化し、世界の国や地域、国際機関の災害管理サイクルにおける早期警戒体制の構築へと促すことができるとしている。
最初の取り組みとしては、国連防災緊急対応衛星情報プラットフォーム(UN‒SPIDER)との連携を行い、この9月からUN-SPIDERをはじめとする国連機関や各国宇宙機関とともに、2022年に海底火山噴火と津波災害が発生したトンガ王国をはじめ、複数の開発途上国都市の高精度デジタルツインを生成する共同事業に着手したという。
また、2045年に向けて世界が直面する重大な課題に対する協力強化と、SDGs(持続可能な開発目標)の次のグローバル・アジェンダを議論するため、9月22日から23日の2日間にわたってアメリカ・ニューヨークの国連本部で開催された「国連未来サミット(Summit of the Future)」では、スペースデータが開発するトンガ王国のデジタルツイン映像が紹介された。
近年、日本国内でも台風による洪水や土砂崩れなどの災害が頻発しており、自然災害や異常気象への対応は喫緊の課題となっている。
特に、気候変動による気象災害などは開発途上国においてそのリスクがより高いとされているが、これらの国ではインフラなどが脆弱なことも多く、より甚大な被害が起こることが懸念されている。今回の取り組みが、こうした被害を回避・軽減する解決策を生み出すことにつながることを期待したい。
スペースデータでは、国連宇宙部のイニシアチブである「Early Warnings for Allイニシアティブ」「Access To Space For Allイニシアティブ」とも連携・協業を予定しているとしている。