イーロン・マスク氏が率いる米宇宙企業スペースXは2023年4月20日、同社が開発する大型宇宙船「スターシップ」と第1段ロケットブースター「スーパーヘビー」を組み合わせた初の試験飛行を実施しましたが、打上げからおよそ3分後に姿勢を崩し、指令破壊信号により上空で爆発しました。
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制御不能となった「スターシップ」
「スターシップ」は、同日午前 9時33分(米国東部時間)、テキサス州南部のボカチカにあるスペースX の試験場から打上げられました。
リフトオフ後、打上げは順調に進んでいると思われましたが、およそ3分後に予定されていた「スターシップ」と「スーパーヘビー」の分離が正常に行われず失敗。さらにその1分後、高度39㎞まで到達したところで機体が回転し始めるという事態に見舞われました。制御不能になった機体は指令破壊信号が出され、上空で爆発しました。
スペースXによると「スーパーヘビー」に搭載されたラプターエンジン33基のうち5基のエンジンが停止していたということです。
なお、打上げの40秒前には、ロケットの推進剤タンクに圧力をかける問題を解決するため、短時間待機した後にリフトオフが行われるという一幕もありました。
イーロン・マスク氏「多くのことを学んだ」
試験飛行はもともと2023年4月17日に予定されていましたが、カウントダウンの最終段階で加圧システムに問題が生じ、打上げは中止。今回は再挑戦となる打上げでした。
当初の計画では、打上げからおよそ8分後に「スーパーヘビー」がメキシコ湾に落下。一方「スターシップ」は高度235kmまで上昇し、地球を1周近く飛行した後、打上げからおよそ1時間半後にハワイ沖に着水する予定でした。
今回の試験飛行の失敗についてイーロン・マスク氏は「数ヶ月後に行われる次回の打上げに向けて、多くのことを学んだ」とツイート。
スペースXは今回得られたデータを分析し、次回打上げに向けて取り組んでいくとしています。