人工衛星の打上げ支援から宇宙機器調達等、宇宙産業における幅広いサービスを展開するSpace BD株式会社は2023年6月14日、国際宇宙ステーション(ISS)日本実験棟「きぼう」を活用したライフサイエンス事業において、国内外の企業・研究機関のサンプルのISSへの打上げが完了したと発表した。
サンプルは、米航空宇宙局(NASA)による28回目のISSへの商業補給サービスミッション(SpX-28)として、米SpaceX社のドラゴン補給船に搭載され、日本時間の同月6日午前0時47分に米国フロリダ州のケネディスペースセンターから打上げられた。
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宇宙空間でのタンパク質構造解析で新薬開発を加速
Space BDはISS「きぼう」船内実験設備を活用し、微小重力空間の特性を活かした高品質なタンパク質結晶の生成技術を使用したライフサイエンス事業「タンパク構造解析サービス」を展開している。
同サービスでは、創薬研究で重要となる、ターゲットタンパク質構造情報の決定と化合物等との相互作用の検証を支援する。
通常の新薬開発プロセスで膨大な時間を要する候補化合物の選定において、高品質なタンパク質の構造情報に基づいた実験を行うことで、リードタイムを大幅に短縮し、コストを削減できるという。
シスメックスとの共同研究、診断薬開発の基礎データ取得へ
同社は、2021年5月のISS「きぼう」高品質タンパク質結晶生成実験サービス開始から、現在までに3回の打上げを支援し、JAXAのアカデミア公募案件を中心に合計350以上のサンプル打上げを成功させている。
今回新たな挑戦として、検体検査領域を中心に事業を展開するシスメックス株式会社と共同研究契約を締結し、診断薬開発の基礎データ取得を目的としたサンプルを打上げた。
今回の打上げで、ISSに送り届けた有償利用サンプルの合計は28になったという。
サンプルの帰還後、同実験結果をもとにした新規診断薬の開発を進めるとしている。