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損保ジャパン、イスラエルの企業と衛星画像による温室効果ガス排出量解析の実証実験を開始

2024年6月12日、損害保険ジャパン株式会社(東京都新宿区、代表取締役社長 石川耕治)、SOMPOリスクマネジメント株式会社(東京都新宿区、代表取締役社長 中嶋陽二)およびMomentick Ltd.(イスラエル、CEO Daniel Kashmir)は、温室効果ガス(GHG)排出量を衛星画像で解析する技術の活用について実証実験を開始したと発表した。

さまざまな衛星画像を元に、メタンガスが排出されている場所と排出量を解析

主なGHGには、二酸化炭素(CO2)やメタン(CH4)、一酸化二窒素(N2O)、フロンガスがあるが、今回の実証実験では、メタンの検知技術の検証が行われる。

今回の実証実験では、Momentick社がハイパースぺクトル分析(光を細かく分光することで物体の物性特性や状態を判定する解析技術)とアルゴリズムを活用した独自のソフトウェアによって衛星画像から特定の資産周辺におけるメタン排出の量と場所の解析を行い、損保ジャパンとSOMPOリスクマネジメントにその結果と知見を提供。

損保ジャパンとSOMPOリスクマネジメントが共同で技術検証を行い、リスクコンサルティングサービスや保険商品開発での活用可能性を調査する。

今回の実証における各社の役割
Credit: 損害保険ジャパン株式会社 プレスリリース

なお、技術検証にあたっては、環境省気候変動観測研究戦略室および国立環境研究所地球システム領域衛星観測センターの協力の下、温室効果ガス観測技術衛星GOSATシリーズによって取得したデータも活用する。

実証に参加を希望する企業も6月末まで募集中

また、損保ジャパンでは、実証実験の技術検証にあたり、管理・保有施設の試験的な検査を希望する協力企業を今月末まで、以下の要領で募集している。

募集期限:2024年6月30日
参加費用:無料
対象企業:メタンを発生する可能性がある施設を国内外で管理・保有する企業(希望企業の中から複数社に協力を依頼予定)
問合せ先:損保ジャパン営業店

保険商品としては、メタンを多く含む天然ガスの漏洩に対しての補償、メタンが排出検知された施設の調査・修復費用の補償、有機廃棄物の埋立て場跡地に滞留するメタンの検知と連動する補償などが検討される。

また、Momentick社と連携した排出検知サービスを、SOMPOリスクを通じて希望する企業へ提供することも検討しており、さらに本実証実験の結果をふまえ、二酸化炭素の排出について衛星画像による解析を行う実証実験にも移行していく予定だという。

2015年に採択されたパリ協定では、産業革命以降の気温上昇を1.5℃までに抑えるという国際目標が設定されているが、023年4月時点で、すでに世界の平均気温は産業革命以前に比べ1.6℃上昇していると報告されている。

GHGの排出源とその量を特定して対策を打つことは喫緊の課題であり(参考記事)、今回の実証がその一助となることを期待したい。

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