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ElevationSpace、宇宙戦略基金「高頻度物資回収システム技術」に採択

Credit: 株式会社ElevationSpace プレスリリース
2025年11月14日、株式会社ElevationSpace(宮城県仙台市、代表取締役CEO:小林稜平)は、第二期の宇宙戦略基金事業において、「高頻度物資回収システム技術」の実施機関として採択されたと発表しました。
同社が採択された技術開発テーマ「高頻度物資回収システム技術」では、宇宙ステーションなどの低軌道拠点から実験サンプルを搭載した回収システムを放出し、サンプルへの負荷を軽減しつつ、タイムリーに回収するための高頻度回収システム技術を開発・検証することが目的で、総額25億円の支援が行われます。
研究代表者は元宇宙航空研究開発機構(JAXA)で研究開発部門を統括し、2023年にElevationSpaceにCTOとして参画した藤田和央氏です(参考記事)。
ElevationSpaceではかねてから高頻度物資回収を実現する小型無人回収サービス「ELS-RS」を開発しており、この技術開発を通して多様化するサンプルの回収ニーズに対応し、国際競争力を持つ高頻度物資回収システムを日本で確立することを目指すとしています。
欧州の宇宙開発2社、軌道上物流の実証ミッションを来年打上げ

2025年11月12日、軌道上製造プラットフォーム「BentoBox」の開発を進めるSpace Cargo Unlimited(ルクセンブルク、CEO:Nicolas Gaume、以下Space Cargo)、ペイロードの輸送・帰還などに用いる再使用型カプセル「PHOENIX」を開発するATMOS Space Cargo(ドイツ・リヒテナウ、共同創業者兼CEO:Sebastian Klaus、以下ATMOS)と、「PHOENIX」と「BentoBox」の統合ミッションに関する契約を締結したと発表しました(Space Cargoによる発表〔フランス語〕)。
このミッションは、プラットフォーム「BentoBox」とPHOENIXの第2世代「PHOENIX 2」を統合し、軌道上物流、軌道上ペイロード運用、地球への帰還を商用サービスとして協調運用するフレームワークの実現可能性の実証が目的。全7回の飛行を予定しているとのことです。
最初のミッションは、SpaceXのFalcon 9ロケットによるライドシェア(相乗り)にて、2026年に打上げられる予定で、ミッションは数週間にわたる予定。Space Cargoは「BentoBox」を介して軌道上でのペイロード操作をモニターするとともに、「PHOENIX 2」内部の環境条件やペイロードへの電力分配、通信システムや、ATMOSの地上セグメントを介した継続的なデータ交換も管理するとしています。
一つ上のニュースで、日本国内における軌道上からの高頻度物資回収システムの開発に関する動向をお伝えしていますが、2030年の国際宇宙ステーション(ISS)退役を見据え、世界各国で軌道上での実験、そしてサンプル回収に関する技術開発が加速しています。
独ヴュルツブルク大学、AIによる衛星の姿勢制御に成功 世界初

2025年11月7日、ドイツのユリウス・マクシミリアン大学ヴュルツブルク(Julius-Maximilians-Universität Würzburg:JMU)は、同大学の研究チームが、軌道上の衛星のAIによる姿勢制御に成功したと発表しました(JMUによる発表)。
同大学によると、この試みは世界初とのことです。
試験が行われたのは10月30日で、3Uナノ衛星「InnoCube」に対し、研究チームが開発したAIエージェントで姿勢制御の指示を実施。初期の姿勢から指定された姿勢への制御に成功し、その後も複数回の姿勢制御に成功したということです。
この研究は、次世代の自律姿勢制御システムの開発を目指す「LeLaR」というプロジェクトのもと行われたもので、深層強化学習(Deep Reinforcement Learning:DRL)アプローチを用いることで、これまでエンジニアが手動で行っていたパラメーター調整を自動化し、予測された条件と実際の条件の差を自動的に調整できるようになる可能性があるということです。
Sierra Space、スペースプレーン「ドリームチェイサー」の飛行前試験を完了

2025年11月13日、米国の宇宙開発企業シエラ・スペース(アメリカ・コロラド州、暫定CEO:Fatih Ozmen、以下Sierra Space)は、同社が開発を進めるスペースプレーン「ドリームチェイサー(Dream Chaser®)」が飛行前の一連の試験を成功裏に終えたと発表しました(Sierra Spaceによる発表)。
一連の試験はアメリカ航空宇宙局(NASA)のケネディ宇宙センターで実施され、電磁干渉(EMI)/電磁両立性(EMC)や、滑走路着陸時をシミュレートした自律航法パラメーターの検証、コマンド配信能力の実証などが行われたとのことです。
この試験結果をふまえ、ドリームチェイサーは来月にも最終段階となる音響試験に進むということです。
同社では、第2期の商業補給サービス「CRS-2」契約に基づく実証を通じ、2026年第4四半期を目標に低軌道への初打上げを行う予定だとしています。
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