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ispaceがユネスコの月面ミッションに協力 人類の言語と文化遺産を記録したディスクを月へ

左から、Interim President and CEO ICANNのSally Costerton氏、Assistant Director-General for Communication and Information UNESCOのTawfik Jelassi氏、ispace EUROPE CEOのJulien-Alexandre Lamamy氏
Credit: 株式会社ispace プレスリリース

多様な人類の言語と文化遺産を記録したメモリーディスクを月面へ

株式会社ispace(東京都中央区、代表取締役 袴田武史、参考記事)は、2024年5月7日、ユネスコ(国際連合教育科学文化機関)の、人類の言語と文化遺産を保護するための月面ミッションに協力することを発表した。

前日の5月6日にフランス、パリのユネスコ本部で開催された会合で、ユネスコは、米国カリフォルニア州に拠点を置く企業と共同で開発した「メモリーディスク」に人類の言語と文化遺産を記録させ、月面に輸送する計画を発表。

ユネスコは、今後地球上で予想される深刻な気候変動や自然災害などあらゆる危機に備えて、人類の文化を象徴する言語の多様性を維持することの重要性を掲げており、そのための施策の1つとして、月面へのメモリーディスクの輸送を考えているという。

このメモリーディスクには、ユネスコ憲章の前文に記される、世界の団結と言語の多様性、文化を保護することの重要性を示す文章が275の言語に翻訳されて記録される。

一方のispaceグループは、日・米・欧の3法人で世界30カ国の国籍を有する従業員が、それぞれの国や地域の文化や多様性を活かしながら各国の宇宙政策と宇宙産業の促進に貢献しつつ、1つの統合的なグローバル企業として、「シスルナ経済圏(cislunar:地球と月の間の空間)」の確立をビジョンに掲げ、これを目指している。

こうした背景から、同社はユネスコの「人類の言語の多様性維持の必要性」という理念に共感し、このメモリーディスクを2024年冬に民間月面探査プログラム「HAKUTO-R」ミッション2で打ち上げを予定している月着陸船「RESILIENCE」に搭載、月面へ輸送することで、ユネスコの月面ミッションへの協力を表明することになったという。

6日のイベントに出席したispaceの欧州法人であるispace EUROPE S.A.のCEO、Julien-Alexandre Lamamy氏は、今回の取り組みについて「この度、ユネスコが計画する、人類の言語の多様性維持のため月を活用するというミッションにおいて、ispaceが月面への輸送協力を行うことが、世界各国の政府関係者が集まる場で発表出来たことを非常にうれしく、光栄に思います。この月面ミッションを成功させるためにも、ispaceは民間月面探査プログラム「HAKUTO-R」ミッション2の打ち上げに向けて、引き続き開発に尽力してまいります」とコメントした。

最近では各国・各企業がこぞって探査機などを送り込んでいることから、宇宙開発の競争の舞台と見なされがちな月。人類の文化を象徴する「多様性」を記録したディスクの月面への輸送という今回の取り組みは、宇宙の平和的な利用について、改めて思い起こさせる役割ももちそうだ。

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