脱炭素社会に向けて衛星データを活用
2024年5月9日、農業分野でのカーボンクレジットの創出支援事業を行う一般社団法人Co(東京都国立市、代表理事 片岡慶一郎)は、株式会社Archeda(東京都千代田区、代表取締役 津村 洸匡)と提携し、信頼性の高いカーボンクレジット創出に向けて衛星データを活用したモニタリングを実施すると発表した。
地球温暖化の主な原因とされる二酸化炭素やメタンガスなどの温室効果ガス(GHG)については、近年、その排出削減分をクレジット化して取引できるようにすることで、企業や自治体などにGHG排出削減を促そうという動きがある。
一方で、排出削減効果が明確に算出できないままクレジット化される例などもあり、低品質なクレジットの流通を危惧する声もある。
こうした背景もあり、一般社団法人Coでは、Archedaの衛星データ解析技術を活用することで、モニタリングの信頼性を向上させ、高品質なカーボンクレジットの創出を目指すとしている。
また、Archedaでは衛星データを活用した自然に基づく解決策(Nature-based Solutions)に取り組んでおり、「水稲栽培における中干し期間の延長」によるカーボンクレジットにおいても衛星データ利活用の取り組みを促進していくとしている。
なお、「中干し」とは、稲の栽培中に一時的に水田の水を抜き、田を乾かす工程で、土壌と空気が触れることで嫌気性菌の活動が抑制され、メタンガスの排出量を削減する効果があるとされている(参考記事)。
今回の取り組みについては、モニタリング方法が確立されていない現状を受け、今年冬を目途にモニタリングレポートが公開される予定だという。
カーボンクレジットは、脱炭素への取り組みを促す有効な手段だが「本当に額面通り削減されているか」を厳密には把握しきれない面が課題となっている。こうした課題に衛星データが活用されることでクレジットの信頼性が高まれば、カーボンクレジットによる脱炭素の取り組みの大きな後押しになりそうだ。