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鉄道の故障予測AI技術を宇宙機に活用 JAXA・スカパーJSAT・JR西日本が共同実証を開始

Credit: 西日本旅客鉄道株式会社 プレスリリース

西日本旅客鉄道株式会社(大阪府大阪市、代表取締役社長 長谷川一明、以下JR 西日本)は、2022年10月からJAXA(宇宙航空研究開発機構、理事長:山川宏)と進めてきた機械故障予測AI技術の人工衛星などへの適用に関して、このたびスカパーJSAT株式会社(東京都港区、代表取締役 執行役員社長 米倉英一、関連記事)を加えた三者での事業共同実証活動を開始すると発表した。

JR西日本はかねてから、同社が社内開発し業務使用している機械故障予測AI技術の人工衛星などの宇宙機への適用を進めるため、JAXAと「JAXA宇宙イノベーションパートナーシップ(J-SPARC)」の枠組みのもとで事業コンセプト共創活動を行っていた。

この共創活動では、JAXAがもつ人工衛星からのテレメトリデータ(人工衛星上で取得された電力、姿勢、通信状態など、機器の健康状態を示す情報)アセットおよびその運用ノウハウと、JR西日本がもつ鉄道設備メンテナンスに関するデータ分析・AI開発技術およびその実装ノウハウを掛け合わせることで、人工衛星における故障と異常兆候の検知AIの開発を行ってきた。

これまでの検討から、従来の運用管制では視覚的な確認が難しかった外部環境による影響や複数のテレメトリデータの相互関係を可視化させ、人工衛星運用の品質の向上・業務効率化につながる複数のAIモデルを構築したという。

そして、この共創活動に、国内外さまざまなメーカーの人工衛星累計30機以上の運用実績と知見をもつスカパーJSATが加わることで、商用衛星運用における課題の明確化と衛星テレメトリ解析AIモデルの高度化が可能になるとしている。

今後は実運用環境での利用に向けた実証を通じ、異常兆候検知AIを通じた衛星運用の品質の向上と業務効率化、これによるさらなる安定運用を目指し、将来的には、軌道上衛星の有効な利活用事業やリスクヘッジ事業の構想とその事業性の検討をしていくとしている。

放送、通信や位置情報の取得など、人工衛星からのデータなどが生活やビジネスのさまざまな場で活用されている今、故障が起きる前に察知して安定して運用した運用を行うことは重要なテーマだ。人工衛星は鉄道と同様に社会インフラになっているといえ、今回の共創強化でさらなる成果が出てくることを期待したい。

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