Credit: 株式会社ispace プレスリリース
2024年7月25日、株式会社ispace（東京都中央区、代表取締役 袴田武史）は、同社の欧州法人であるispace EUROPE S.A.（ルクセンブルク、CEO Julien-Alexandre Lamamy）が独自に設計・製造を行ったマイクロローバー（小型月面探査車）のフライトモデルの組立てが完了したと発表した。
ispace EUROPE S.A.はルクセンブルクに拠点を構えており、今回組立てられたマイクロローバー「TENACIOUS（テネシアス）」は欧州で製造された最初のローバーになるという。
マイクロローバー「TENACIOUS」は、今後ルクセンブルクから日本に輸送され、2024年冬にアメリカで打ち上げが予定されている「HAKUTO-R」ミッション2のRESILIENCEランダー（月着陸船）に搭載されることになる。
なお、名称の「TENACIOUS」は、「粘り強い」という意味をもつ。
ispace EUROPEのCEOを務めるJulien-Alexandre Lamamy氏は「TENACIOUSは、これから画期的なマイルストーンを達成することに挑む小型マイクロローバーの精神を見事に表現している名前。欧州で製造した最初のマイクロローバーであり、2017年にルクセンブルクで施行された宇宙資源法に基づき、欧州の顧客を月面に運び、宇宙資源の採集をする、最初のマイクロローバーになると思う」とコメント。
ルクセンブルクのispace EUROPEオフィスで行われた記者発表会には、同社CEOのLamamy氏とispace CROの斉木敦史に加え、ゲストとしてルクセンブルク大公国のデレス 経済・中小企業・エネルギー・観光大臣、在ルクセンブルク日本国大使館の松原正浩特命全権大使、ルクセンブルク宇宙機関のマチアス・リンク副CEOが参加。小国ながら宇宙関連企業が集積するルクセンブルクとしても（参考記事）、マイクロローバーの組立完成に大きな期待が寄せられていることがうかがえた。
Credit: 株式会社ispace プレスリリース
TENACIOUSは、高さ26cm、幅31.5cm、全長54cm、重さは約5kg。軽量、かつロケットの打ち上げ等の振動に耐える頑丈性を実現するため、躯体にはCFRP（炭素繊維複合材）を採用している。また、ローバー前方にはHDカメラが搭載されており、月面上での撮影が可能。細かな砂状のレゴリスで覆われている月面環境でも安定した走行ができるよう車輪の形状も工夫されている。
ミッション2では、TENACIOUSローバーによる月のレゴリス採取が予定されている。月面における探査・資源採取に向けて着実に進んでいる「HAKUTO-R」ミッションに今後も注目したい。
