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来年度に向けた宇宙関係予算の検討進む 省庁による調達含め、産業のすそ野拡大を目指す

会議の最後に締めくくりの発言を行う高市早苗・内閣府特命担当大臣

2024年8月2日、千代田区・霞ヶ関の内閣府にて「宇宙関係予算に関する関係府省連絡会」が開催された。議事自体は非公開で行われたものの、議事終了後、宇宙政策を担当する内閣府特命担当大臣の高市早苗氏による締めくくりの発言部分が報道陣に公開された。

連絡会には内閣府のほか、総務省・文部科学省・農林水産省・経済産業省・国土交通省・環境省・防衛省から副大臣、または大臣政務官が出席した。

各出席者に対し、高市大臣は「宇宙開発はまさに変革アクションのとき。宇宙基本計画と宇宙技術戦略で位置づけられたことを着実に実行していくことが何より重要」と、宇宙政策推進に向け強い決意を示した。

そのうえで、重要な観点として高市大臣は下記3つの観点を提示。

  1. これまで宇宙分野に参画してこなかった民間企業、スタートアップや大学も含めて、宇宙産業の裾野と人材の広がりを作っていく
  2. 宇宙分野の展開先が広がっている中で、技術開発に加え、宇宙を利用する省庁による調達を推進し、宇宙産業の好循環を実現する
  3. 各国の宇宙活動が拡大する中で、デブリ対策をはじめとした国際的な規範、ルール作りを主導していく

宇宙分野のすそ野を広げるとともに、省庁が率先して調達を行う「アンカーテナンシー」を通じて産業基盤を整えるとともに、国際的なルール形成でも他国に遅れをとらないよう積極的に動いていく、という方向性だ。

特に、2番目の観点として示された省庁による調達の推進については、新製品・新サービスの開発を行う企業にとって安定した収益確保の一手段となり、収益が確保されることで持続的な開発が行えたり、また省庁との取引があることで資金調達を進めやすくなるといったメリットが考えられる。

なお、高市大臣が座長を務める「衛星リモートセンシングデータ利用タスクフォース」(参考記事)では、2024年度からの3年間を民間衛星の活用拡大期間と位置づけており、衛星利用ニーズの拡大を支えていく構えだ。

また、高市大臣は政策の着実な推進のためには予算確保が非常に重要と指摘。各省庁に対し、必要学の確保に向け、しっかり取り組んでほしいと要望した。

令和7(2025)年度の概算要求は8月末頃に公表される見通し。概算要求を見ることで各省庁が重視することやねらいも見えてくることから、8月は宇宙ビジネス関係者にとっては気の抜けないひと月になりそうだ。

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