
目次
衛星画像による土地変化検出システム、ベータ版の提供開始 スカパーJSATとPenetrator

Credit: 株式会社Penetrator プレスリリース
2025年5月8日、スカパーJSAT株式会社(東京都港区、代表取締役 執行役員社長:米倉英一)と株式会社Penetrator(東京都文京区、代表取締役CEO:阿久津岳生)は、両社で共同開発した、衛星画像から土地の変化を検出するシステムのベータ版の提供を開始したと発表しました。
同システムは、撮影時期が異なる衛星画像からデータの差異を抽出し、土地の変化を検出するもの。データ差異の情報はスカパーJSATの独自技術により、衛星画像から抽出されたものだということです。
現在、このシステムはPenetratorが提供する不動産SaaS『WHERE』(参考記事)を通じて一部顧客向けにベータ版が提供されており、PoC(概念実証)が進められています。
不動産業界では、担当者が自分の担当地域を定期的に巡回して土地の変化や空き地を目視で確認していますが、土地の変化を『WHERE』上で把握できるようになれば労働時間の削減や特定の人材への依存軽減といったメリットが期待されるとしています。
ispace、高砂熱学工業と覚書締結 月面での「サーマルマイニング技術」実証で

2025年5月9日、株式会社ispace(東京都中央区、代表取締役:袴田武史)は、高砂熱学工業株式会社(東京都新宿区、代表取締役社長:小島和人)と、将来の月面環境における水採取技術(サーマルマイニング技術)の月面実証に向けた計画検討に関する覚書を締結したと発表しました。
この覚書は、高砂熱学工業が研究開発を進めるサーマルマイニング技術を、ispaceが開発する月面探査車(ローバー)に搭載し、将来的な月面での水資源の採掘を技術的に実証することを最終的な目標とした共同技術開発に向け、検討を行うというもの。
「サーマルマイニング技術」とは、月面の氷レゴリス層をヒーターで加熱し、発生した水蒸気を採取するという独自の方法で、高砂熱学工業が開発を進めています。
なお、6月に着陸予定のispaceのランダー・レジリエンス(RESILIENCE)には高砂熱学工業が開発した月面用水電解装置が搭載されており、月面着陸後に水の電気分解を実施予定です。着陸が成功すれば、世界初の月面環境における水素ガスと酸素ガスの生成に挑戦することになります。
ロケットラボ、ロケットによる高速二地点間輸送の実証で米国空軍研究所と契約

2025年5月8日、打ち上げサービス等の提供を行うロケットラボ(アメリカ・カリフォルニア州、創業者・CEO:Sir Peter Beck以下Rocket Lab)は、米国空軍研究所(AFRL)向けに、ポイント・ツー・ポイント(P2P、高速二地点間輸送)の貨物輸送を支援する「Rocket Cargo」ミッションを、同社の新たな中型再使用ロケット「ニュートロン」で打ち上げると発表しました(ロケットラボによる発表)。
この打ち上げ契約は、世界中に迅速に貨物を輸送するためのロケットベースのP2P輸送システムを構築することを目指したAFRLの公募に基づくもの。
P2P輸送とは、ロケットを活用したサブオービタル飛行により地球上の2地点間を高速で結ぶ宇宙輸送の形式のひとつで、地球上のどこへでも90分以内で移動できるとされています。
今回の契約ではニュートロンによる打ち上げで貨物が無事に保たれるかを確認する予定。打ち上げは2026年以降とされています。
ClearSpace、デブリ除去実証ミッションに向けた第二フェーズを完了

Credit: ClearSpace ウェブサイト
2025年5月7日、デブリ除去や宇宙機の修理・燃料補給などの軌道上サービスを開発するクリアスペース(スイス・ルナン、共同創業者兼CEO:Luc Piguet、以下ClearSpace)は、同社が英国宇宙庁のデブリ除去プログラムの一環として資金を受けている「CLEARミッション」のフェーズ2を完了したと発表しました(ClearSpaceによる発表)
同社によると、同フェーズでは宇宙機が打ち上げ時の負荷に耐えられるかや、画像処理アルゴリズムの実証、デブリへの近接フェーズの一部でのエミュレーターを用いた検証などが行われたとのこと。英国初の積極的デブリ除去(Active Debris Removal:ADR)ミッションにおける重要なマイルストーンを達成したとしています。
ClearSpace英国のマネージングディレクターであるロリー・ホームズ(Rory Holmes)氏は、「CLEARミッションは単なるデブリ除去プロジェクトにとどまらず、英国主導による軌道上サービスの完全運用に向けた足がかりとなります」と述べています。
デブリ除去に関して、日本ではアストロスケールがJAXAとの実証契約を受注しているほか(参考記事)、Orbital Lasersも研究開発を進めていますが(参考記事)、欧州企業も「持続可能な宇宙」を掲げて積極的に開発を進めていることがうかがえます。
【編集部よりお知らせ】ニュースのまとめや新着記事をお知らせ!メールマガジン(不定期配信)のご登録はこちらから
あわせて読みたい
【PR】イベント企画・運営、動画の企画制作、デザイン制作、記事制作のご相談はIPP by DigitalBlast Consultingへ!
詳しくはこちら>>> https://digitalblast-c-ipp.jp/