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アクセルスペース、記者懇談会を開催 創業15周年を迎えCEOらが今後の展望を紹介

2023年7月27日、小型衛星ビジネスを手がける宇宙ベンチャーのアクセルスペースが、X-NIHONBASHI TOWERにて報道関係者向けの記者懇談会を開催、同社のこれまでの取り組みと今後の事業展望を紹介した。

アクセルスペースCEOの中村友哉氏。創業からの歩みを語るとともに
今後に向けた展望を語った

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拡大する小型衛星ミッションへのニーズに対応

学生時代から超小型衛星(キューブサット)の開発に携わってきた中村友哉氏が代表取締役CEOを務めるアクセルスペースは2008年創業。今年で15周年を迎える同社は現在、小型衛星の開発・製造・打上・運用を行う「AxelLiner」と、衛星画像の販売および衛星画像を使用したサービスを提供する「AxleGlobe」の2つのソリューションを展開している。

会の冒頭、両事業の紹介を行った中村氏は、「AxleGlobe」について、今後、環境・金融・報道の領域で衛星画像の活用ニーズが高まるのではないかと見通しを語るとともに、衛星画像領域については、単に画像を販売するだけではなく、画像が示すインサイトをふまえてソリューションにつなげていくことがビジネス上のポイントだとした。

一方の「AxelLiner」については、衛星コンステレーションが増加する中で、生身の人による運用は難しくなるだろうと指摘。さらに、従来は開発費用の見通しが立ちづらかった衛星ミッションについて、衛星製造を量産化するアライアンスを構築することで、開発から打ち上げまでの期間を1年程度に短縮していくと今後の体制について言及した。

小型衛星の開発・製造を低コスト&短納期で実現するために

続いて、同社Co-CTO(執行役員/共同最高技術責任者・宇宙機技術担当)の永島隆氏がAxleLiner事業を通じた「ユーザーエクスペリエンス」の革新について解説。
前段で中村氏が言及した衛星開発費用の可視化と製造期間の短縮について、トヨタの設計思想であるTNGA(Toyota New Global Architecture)から着想を得た汎用衛星プラットフォームの構想を紹介した。

これは、従来は個々の顧客ごとに設計を行っていた小型衛星について、衛星の頭脳であるOBC(On Board Computer)や通信機器(Telemetry, Tracking and Command:TT&C)といった基本的な機能は共通部分として仕様を統一しながら、太陽電池パネルやデータ記録装置などはカスタム部分として顧客のミッションにあわせて柔軟に変更していくという考え方。

永島氏は、これによって顧客の要望に応えつつ、汎用性をもたせることで低コスト・納期短縮を目指すと説明。さらに、衛星ミッションの最初の段階であり、カスタム部分の仕様や設計にもかかわる「ビジネスデザイン、フィージビリティ・スタディ」の段階での顧客支援も重要だと語った。

アクセルスペースCo-CTOの永島隆氏は衛星開発・製造の前段階である
ビジネスデザイン、フィージビリティ・スタディのステップから
顧客を支援する重要性を強調した

ビジネスデザイン、フィージビリティ・スタディとは、「衛星を使って何ができるか」「どうすればやりたいことを実現できるか」といったビジネスの根幹にかかわる点であり、この点に対応するサービスとして、『AxleLiner Terminal』を、来年はじめ頃をめどに提供する予定であると明かした。

会場では、同社Co-CTO(執行役員/共同最高技術責任者・情報技術担当)の國母隆一氏によるAxleLiner Terminalのデモも行われ、ビジネスデザインとフィージビリティ・スタディ、衛星開発・製造・試験から運用まで、プロダクトライフサイクル全体を通じた支援サービス展開に向けた同社の姿勢が示された。

アクセルスペースCo-CTOの國母氏によるAxleLiner Terminalの
デモの様子。ある架空の企業が衛星に望遠鏡をペイロードとして
積み込む場合を想定したシミュレーションが行われた

地球観測や通信等、さまざまな用途での衛星活用が進む中、ビジネスデザインから打ち上げ後の運用まで、一気通貫での支援を目指す同社のサービスは日本の小型衛星ビジネスの先陣を切るものと言え、今後の展開に注目が集まる。

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