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宇宙にまつわる競走馬のおなまえ! 宇宙船に宇宙飛行士、あの「天才」まで!

突然だが、競走馬には宇宙に関する名前を持つ馬が多いことをご存知だろうか?

例えば、現在世界中で走っている競走馬の約97%は「エクリプス」という馬の子孫なのだが、これは日食や月食などの「食」現象を意味する英単語である。

現代競馬においても、宇宙にまつわる名を持つ競走馬は多く存在する。この記事では、毎週欠かさず競馬を見る筆者が、宇宙に関連する馬名について紹介する。

※各情報は2024年6月18日時点のもの

あの「天才」も!宇宙にまつわるGI馬たち

JRA(日本中央競馬会)主催の競馬レースである中央競馬はレベル分けがなされており、GI>GII>GIII>リステッド>オープン特別>3勝クラス>2勝クラス>1勝クラス>新馬・未勝利 の順に並んでいる。

中でもGI(ジーワン)レースは上記のように、中央競馬の最上位に位置づけられるもので、GIに出走・制覇することは大変名誉なこととされている。このように競走馬「最強」と言ってもよいGI馬(GIを制覇した競走馬)の中にも、宇宙に関する名前を持つ馬がいる。ここでは、そのうち2頭を紹介しよう。

イクイノックス

イクイノックス。右奥はライバルのドウデュース(2023年10月29日撮影)

競馬好きではなくとも、「この馬なら知っている」という方が多いのではないだろうか。

イクイノックスは、「天皇賞(秋)」連覇を含むGIレース6連勝を達成、2023年には世界中の競走馬の格付けである「ワールドベストレースホースランキング」でも1位に選出されるなど、まさに「世界最強」の競走馬である(引退済)。その走りは、ファンの間で「天才」と称されるほどだ。

そんな彼の名前である「イクイノックス」は、欧字名では”Equinox”となり、「昼と夜の長さがほぼ等しくなる時」を意味し、春分の日と秋分の日がこれに該当する。春分・秋分はそれぞれ、地球の自転軸が傾き、太陽の周りを回っている(公転)しているために起こる現象である。

年に2度ある「イクイノックス」の瞬間には、太陽と地球の関係、そして彼の偉大な戦績に想いを馳せてみてはどうだろうか。

スターズオンアース

スターズオンアース(2022年5月22日撮影)

スターズオンアースの欧字名は”Stars on Earth”であり、文字通り「地球上の星」という意味を持っている。

彼女は牝馬(メスの馬)の頂点を決めるレースである「桜花賞」「オークス(優駿牝馬)」をした制覇した、まさに輝ける星のような競走馬であり、2022年「JRA賞最優秀3歳牝馬」にも選出された。近走のGIレースでも善戦しており、今後もどのような輝きを見せてくれるのか注目したい一頭である。

宇宙船に宇宙飛行士? 宇宙にまつわる地方馬たち

前述の中央競馬以外にも、日本では各地方自治体が主催する地方競馬が開催されており、地方競馬へ所属する競走馬を俗に「地方馬」と呼ぶ。ここでは、地方馬の中で宇宙にまつわる名を持つ馬を2頭紹介しよう。

スペースシップ

スペースシップ(2021年6月13日撮影)

スペースシップは中央競馬から地方競馬(大井競馬)に移籍した競走馬だ(引退済)。欧字名は”Space Ship”であり、文字通り「宇宙船」という意味を持つ。なお、「シップ」は父親であるゴールドシップから受け継いだものであり、このような命名法は競馬界でよく見られるものだ。

父親に似て綺麗な芦毛(年齢が進むにつれて白色毛が多くなり、灰色〜白色に見える毛色)を持ち、まるで大福のようにカワイイ競走馬であった。いや、スペースシャトルのようにカッコいいと言うべきだろうか。

コスモノート

コスモノート(2022年10月30日撮影)

コスモノートも、中央競馬から地方競馬(金沢競馬)へ移籍した競走馬である。欧字名は”Cosmonaut”であり、文字通り「宇宙飛行士」という意味を持つ。なお、父親のアドマイヤムーンは名前に「ムーン」が入っており、「月のように光り輝くように」という意味が込められている。月から生まれた宇宙飛行士とは、なんともロマンにあふれている。

宇宙旅行のようにアテンド? レースに欠かせない誘導馬たち

競馬を見ていると、競走馬とは少し違って着飾った馬が歩いているのを見かけることがある。これは「誘導馬」とよばれる馬たちで、レース前にパドック(下見所)から馬場まで、競走馬たちを誘導する重要な役目を担っている。そんな誘導馬たちの中から、宇宙にまつわる名を持つ馬を1頭紹介しよう。

スペースクルーズ

スペースクルーズ(2022年6月12日撮影)

スペースクルーズは競走馬から誘導馬へ転身した馬である(誘導馬引退済)。欧字名は”Space Cruise”で、文字通り「宇宙旅行」の意味を持つ。母親がフィヨルドクルーズ、父親がタイキシャトル(「スペースシャトル」から名付けられた)であったことから、両親から連想して名付けられた名前だという。

間近で見ると、非常におっとりした顔をしている印象を受ける馬であった。彼に誘導された競走馬たちは、快適な宇宙旅行気分でレースへと赴いていったことだろう。

この記事では、宇宙に関する名を持つ競走馬や誘導馬について紹介してきた。今回紹介できたのはほんの一部の馬だけで、宇宙にまつわる競走馬たちはたくさん活躍している。出走情報はインターネットで簡単に調べることができるため、ぜひ「推し名」の馬を見つけてほしい。そして、競馬や宇宙へもっと興味を持ってもらえれば幸いである。

執筆者プロフィール

加治佐 匠真(かじさ・たくま)
鹿児島県出身。早稲田大学卒業。幼い頃からロケットが身近な環境で育ち、中学生から宇宙広報を志す。2019年より宇宙広報団体TELSTARでライター活動を始め、2021年からはSPACE Mediaでもライターとして活動。主にロケットに関する取材を全国各地で行う。主な取材実績にH3ロケット試験機1号機CFT(2022)、イプシロンSロケット燃焼試験(2023、記事)、カイロスロケット初号機(2024、記事)など。

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