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野口聡一氏 立命館大学の学長特別補佐・宇宙地球探査研究センター研究顧問に就任

元JAXA宇宙飛行士の野口聡一氏が、立命館大学学長特別補佐として2023年11月1日付けで就任。12月1日、東京・千代田の東京キャンパスで記者会見を開いた。

左から、仲⾕善雄学長・野口聡一氏・佐伯和人センター長
Credit:立命館大学

立命館大学(以下、立命館)は、3度の宇宙飛行を完遂し、日本の有人宇宙活動を牽引してきた、元JAXA宇宙飛行士の野口聡一氏を学長特別補佐として任命した。さらに同学は2023年7月に、月・惑星における人類の生存圏拡張と、将来的な居住・生活圏構築に先駆けた探査拠点となる宇宙開発・インフラ構築に取り組む日本初の研究組織「立命館大学宇宙地球探査研究センター」(ESEC、滋賀県草津市)を設立しており、野口氏が12月1日付けで同センターの研究顧問に就任したことも発表した。

Credit: 立命館大学

記者会見で仲谷善雄学長は、野口氏が2020年にISS長期滞在ミッションに参加した際のキャッチコピー『挑戦をやめない生き物を人類と呼ぶ』を挙げ、「2030年に向けた学園ビジョンが『挑戦をもっと自由に』であることから、挑戦する志は同じであると強く感じた」と語った。またESEC設立に関しては「今後5~10年間が宇宙探査・開発の将来を見通すうえで非常に重要な時期であるということを受け、本学が日本の宇宙開発や、宇宙の平和利用に貢献する存在になりたいという強い思いを込め、そのフラグシップとしてESECを設置した」と説明。その中で、宇宙飛行のエキスパートである野口氏の知見が必要不可欠であると考え、「未来の立命館の水先案内人として新しい視点からのアドバイスをいただきたい」として、野口氏に研究顧問としての参画を打診したという。

Credit: 立命館大学

就任にあたって野口氏は「NASAを中心に月などに向けた国際宇宙探査計画が本格的に活動をはじめ、来年にはアルテミス計画の有人飛行があるなど、日進月歩で刺激的なフェーズに入っている。外の世界で何が起こっているのかをアカデミックな現場に還元しつつ、ESECが持つポテンシャルを外にアピールすること、その両面で非常に良い時期である」と語った。宇宙空間で過ごした経験を踏まえた研究の助言や、世界各国の宇宙飛行士や研究機関、民間企業へのネットワーク形成を行う予定だという。

立命館大学宇宙地球探査研究センター(ESEC)について

“人類の生存圏の維持と拡大に貢献する”というミッションを掲げ、23年7月に設置されたESECは、宇宙開発の3つのフェーズのうち、フェーズ2にフォーカスした研究組織である(図1参照)。

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図1 Credit: 立命館大学

フェーズ2では、月面や火星面などでの拠点開発を意識した探査や、月の水資源を中心に、広く宇宙の資源物質に対応する学術を創出することを目的として「月の科学探査」と「月の資源利用」の観点から、惑星・地球科学、建設・インフラ、電力・エネルギー、ロボティクスなど、広範な研究プロジェクトに取り組んでいる(図2参照)。これまでにフェーズ2にフォーカスする国内の研究組織はなく、ESECが日本初となるという。

図2 Credit: 立命館大学

野口聡一氏について

1965年神奈川県⽣まれ、博⼠(学術)。3回の宇宙⾶⾏に成功し世界で初めて3種類の宇宙帰還を達成した宇宙⾶⾏⼠としてギネス世界記録達成。国際NPO「Genius 100」財団が選出する「世界の100⼈」に選出。「宇宙からのショパン⽣演奏」動画でYouTube Creator Award、宇宙体験や死⽣観を掘り下げた「宇宙の当事者研究」により⽇本質的⼼理学会論⽂賞、ボーイスカウト⽇本連盟特別功労賞など、数々の賞を受賞。国際社会経済研究所理事、国連WFP協会顧問、国際経済フォーラム(WEF)宇宙部会名誉研究員、東京⼤学特任教授、⽇本⼤学特任教授ほか。著書は『どう⽣きるかつらかったときの話をしよう』(アスコム)、『宇宙に⾏くことは地球を知ること』(光⽂社新書)他多数。趣味は料理、キャンプ、作詞、⾶⾏機操縦。

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