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東京都、宇宙関連機器やデータ利活用サービスの開発に最大1億円を助成

2025年8月31日、公益財団法人東京都中小企業振興公社(東京都千代田区、理事長:中西充)は、宇宙産業における都内中小企業・スタートアップ等のビジネスチャンス獲得を後押しするため「航空宇宙産業への参入支援事業 宇宙製品等開発経費助成」を今年度より新設すると発表しました。
これは同公社にとって新規の助成事業で、宇宙産業をテーマとする機器類の開発やデータ利活用サービスの開発などが対象。
新規開発、改良開発どちらの申請も可能で、機器開発助成の場合、最大1億円の支援が行われます。また、衛星データ利活用に関するソリューション開発助成では、最大2,000万円の支援が行われます。
申請前エントリーは8月4日(月)から10月10日(金)17時まで、申請書類提出は9月19日(金)から10月10日(金)17時までとなっています。
機器開発助成
対象期間:2026(令和8)年2月1日から最長2029(令和11)年1月31日まで(3年以内)
限度額:1億円(下限額 1,500万円)
助成率:助成対象と認められる経費の2/3以内
ソリューション開発助成
対象期間:2026(令和8)年2月1日から最長2027(令和9)年10月31日まで(1年9カ月以内)
限度額:2,000万円(下限額なし)
助成率:助成対象と認められる経費の2/3以内
詳細は下記の応募要項から確認できます。
カイロス2号機失敗の原因はセンサー誤信号、3号機には4衛星搭載へ スペースワン発表
2025年8月31日、スペースワン株式会社(東京都港区、代表取締役社長:豊田正和)は記者会見を開き、2024年12月18日に実施したカイロスロケット2号機打上げ失敗の原因について、ロケット姿勢制御部のセンサーからの誤信号によるものと発表しました。
カイロスロケットは、2軸の電動アクチュエーターを伸縮させ、燃焼ガスが噴射されるノズルを傾けて姿勢を変化させます(詳しくはこちら)。アクチュエーターの反対側にはリファレンスロッドという部品が取り付けられており、ノズルの傾きを電気信号として検知するセンサーを搭載しています。
今回は、1段目のリファレンスロッドが誤信号を送出し、ノズルが急に傾いたとコントローラーが認識、アクチュエーターが意図しない方向へノズルを傾け、機体姿勢が乱れました。この状態が連続したことでスピン状態に入り、正常な飛行経路を逸脱して指令破壊に至ったといいます。

この事象について同社は、地上試験では発見できず、ロケット打上げの過酷な環境で初めて発生したとしました。現在は3号機打上げに向けて対策を進め、総点検を実施しているといいます。
また、3号機には下記の4機の衛星(カッコ内は顧客名)が搭載されると発表しました。
- AETS-1(株式会社アークエッジ・スペース)
- SC-Satla(株式会社Space Cubics)
- TATARA-1R(テラスペース株式会社)
- HErO(広尾学園中学校・高等学校)
同社は3号機の打上げについて「できるだけ早く」とし、2か月前には発表すると説明しましたが、具体的な時期は明らかにしませんでした。
アストロスケール、JSTから衛星への燃料補給技術の研究開発を受注 実証は29年ごろ

2025年9月1日、株式会社アストロスケールホールディングス(東京都墨田区、創業者兼 CEO:岡田光信)の日本子会社である株式会社アストロスケール(東京都墨田区、代表取締役社長:加藤英毅)は、国立研究開発法人科学技術振興機構(東京都千代田区、理事長:橋本和仁、以下JST)と、協力衛星を対象とした宇宙空間における燃料補給技術の委託研究契約を正式に締結したと発表しました。
JSTは、内閣府が主導して創設された「経済安全保障重要技術育成プログラム(通称:K Program)」を推進しており、アストロスケールは2025年1月に同プログラムにおける「複数軌道・電気推進への拡張性、国際市場を意図した国産の化学燃料補給技術開発」に採択されていました。
今回の研究開発で実証用に開発する衛星の名称は「REFLEX-J(Refueling for Extension and Flexibility-Japan、リフレックスジェイ)」。
アストロスケールがこれまでに獲得してきたランデブ・近傍運用・ドッキング(Rendezvous, Proximity, Operations, and Docking:RPOD)技術を土台に、ロボティクス技術、コンピュータビジョン技術・燃料移送技術を組み合わせ、低軌道での化学燃料補給実証を行うほか、静止軌道や電気推進の燃料補給への拡張性も視野に入れた研究開発を行うということです。
研究開発期間は5年程度で、2029年頃に実証を実施する見込み。予算総額は最大108億円とのことです。
インドのISRO、ロケット打上げ拡大に向け新たな打上げ施設を着工

2025年8月29日、インド宇宙研究機関(ISRO)は、今月27日にタミルナド州で建設が開始されているロケット打上げ施設内で、ISRO総裁のV. ナラヤナン(V. Narayanan)氏が礎石を敷設するセレモニーが行われたと発表しました(ISROによる発表)。
同施設は、インド国内で増加している官民の打上げ需要に対応するため、小型衛星打上げロケット「SSLV」専用の打上げ施設として建設されているもの。施設にはロケット組立棟や打上げパッド、レーダーシステム、テレメトリー設備などが含まれ、主要システムはISROが独自開発しているとのことです。
施設は2026年末までの完成を目標としており、SSLVだけでなく民間企業のロケット打上げも可能になる予定。また、今年12月からは大気観測用の観測ロケット打上げが開始される計画だということです。
先日、米国の宇宙企業Rocket Labが新たな打上げ施設を開設しましたが(参考記事)、急増する打上げ需要に対応した動きが世界中で進んでいます。
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