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H3ロケット試験機1号機、固体ロケットブースタ着火せず打上げ中止

宇宙航空研究開発機構(JAXA)は2023年2月17日、先進光学衛星「だいち3号(ALOS-3)」を搭載したH3ロケット試験機1号機の打上げについて、ロケットの自動カウントダウンシーケンス中に1段機体システムが異常を検知し、固体ロケットブースタ(SRB-3)の着火信号を送出しなかったため打上げを中止したと発表しました。JAXAは現在詳しい原因を調べているということです。

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打上げを中止したH3ロケット試験機1号機
Credit:JAXA

H3ロケット試験機1号機は同日午前10時37分55秒(日本標準時)、鹿児島県南種子町の種子島宇宙センター大型ロケット発射場から打上げられる予定でしたが、主力エンジン「LE-9」は着火したものの、SRB-3は何らかの異常により点火されず、打上げは中止となりました。

JAXAは同日午後、記者会見を開き報道関係者らに打上げが中止となった経緯を説明しました。SRB-3が予定通り点火しなかったことについて、H3プロジェクトマネージャの岡田匡史氏は「異常がどこで起きたかの詳細はまだわかっていない。ただLE-9の立ち上がりはロケットが自動で検知していたので、異常があったのはその後だと考えられる。まずは原因追及に全力を尽くしたい」とコメント。

さらに、今回の打上げ中止については「打上げを待っていた方や見守ってくださっていた方には申し訳ないし、私たちもものすごく悔しい」と涙ながらに話しました。

H3ロケット試験機1号機の打上げは当初2020年度に計画されていましたが、新しく開発した「LE-9」エンジンの不具合が原因で2度延期。2023年2月12日に予定されていた打上げについても、天候不良や風速データの入力システムの不具合などで3回延期されていました。

松野官房長官は記者会見で「JAXAにおいては、状況の確認後に再度の打上げに向かうと認識しており、今回の打上げ中止がわが国の宇宙政策に直ちに影響を与えるものとは考えていない」と説明しました。

JAXAは、H3ロケット試験機1号機の次回の打上げ日について年度内を目指すとしており、原因解明に注目が集まります。